認知症が一気に進む原因や対策、顔つきの特徴まで解説
2025/05/06

認知症が急速に進行する要因や見分け方、表情や視線、口元の変化など顔つきの特徴から、食事・運動・睡眠といった生活習慣改善や医療連携による予防策、さらに認知機能維持の知的活動や社会参加、定期受診・介護サービスの利用といった家族のコミュニケーション・安全対策まで幅広く解説します。脳卒中や感染症、せん妄、脱水症状、転居や入院後の環境変化が引き金となるため、早期発見と専門家との連携が重要です。
目 次
認知症が一気に進むとはどういうことか
認知症は一般的に数年かけてゆるやかに進行しますが、何らかの要因で短期間に症状が急激に悪化することがあります。いわゆる「一気に進む」とは、記憶力や判断力、言語機能などの低下が数日から数週間という短い間に顕著となり、本人や周囲が明確に変化を感じ取れる状態を指します。急速な進行は日常生活への支障が大きく、早期の対応が重要です。
急激な認知機能低下の見分け方
急激な認知機能低下の兆候を見逃さないためには、日常生活での行動変化を注意深く観察し、必要に応じて専門医による診断を受けることが大切です。
日常生活での変化に注目
以下のような変化が短期間で現れる場合、認知症の急速な進行を疑いましょう。
・同じ話を繰り返す、約束を忘れるなどの記憶障害が顕著に悪化する
・調理や金銭の管理など、これまで問題なく行えていた家事動作が突然できなくなる
・見慣れた道でも迷う、交通機関の乗り換えが混乱するなど、空間認知能力が低下する
・会話の途中で言葉が出てこず、コミュニケーションに支障を来す
医療機関での診断の重要性
急激な症状悪化の背景には、脳卒中やせん妄、感染症などの合併症が潜んでいることがあります。専門医による診断を早期に受けることで、原因を特定し、適切な治療やケアプランを立てることが可能です。
・神経内科や老年医学の専門医による身体・神経学的検査
・MMSE(Mini‐Mental State Examination)などの認知機能評価テスト
・頭部MRIやCTによる画像診断で脳血管障害や萎縮の有無を確認
・血液検査で甲状腺機能や電解質バランスの異常をチェック
認知症が一気に進む原因
身体的な要因
脳卒中
脳梗塞や脳出血は、血管閉塞や出血により脳細胞が急激に障害を受けます。ダメージを受けた部位が記憶や判断をつかさどる海馬や前頭葉に及ぶと、認知機能が一気に低下し、言語障害や半身麻痺とともに認知症状が急増することがあります。早期のリハビリや脳神経内科での治療が進行抑制に有効です。
感染症
尿路感染症や肺炎などの全身性感染は、せん妄状態を引き起こしやすく、認知機能を急激に悪化させます。特に高齢者は免疫力が低下しており、発熱や脱水を伴うと注意力や集中力が著しく損なわれ、認知症状が急速に進行したように見えることがあります。
脱水症状
高齢者は暑さや薬剤の影響で脱水を起こしやすく、血液循環が悪化すると脳への酸素供給が不足します。その結果、一時的に集中力や記憶力が落ち、認知機能低下の進行が早まる恐れがあります。こまめな水分補給と電解質バランスの管理が重要です。
薬の副作用
睡眠薬、抗コリン薬、抗うつ薬などの一部薬剤は、副作用として意識混濁や記憶障害を引き起こすことがあります。特に複数の薬を併用するポリファーマシーは高リスクで、処方見直しや薬剤師との連携で過剰投与を防ぐ必要があります。
精神的な要因
うつ病
うつ病による気分の低下や意欲減退は、注意力や記憶力の低下を伴い、認知症と似た症状が現れます。適切なカウンセリングや抗うつ薬治療によって改善すれば、認知機能が回復するケースもあります。
せん妄
急性の意識障害であるせん妄は、幻覚や見当識障害を伴い、認知機能が一時的に急激に混乱します。原因としては感染、脱水、薬物相互作用などが挙げられ、早期に原因を特定し対処することが進行予防に不可欠です。
ストレス
介護負担や環境変化による強いストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、認知機能に悪影響を及ぼします。リラクセーション法や心理的サポートを取り入れることで、ストレスによる悪化を抑制できます。
環境の変化
転居
住み慣れた自宅から新居へ移る際、生活リズムや動線が変わることで混乱し、不安や見当識障害が強まり認知症症状が急進することがあります。環境調整や慣らし期間を設けることが有効です。
入院
病院の慣れない環境や検査・治療のストレス、夜間の頻回看護などによって睡眠リズムが乱れ、せん妄や認知機能低下が誘発されやすくなります。家族や看護師との十分な情報共有で安心感を高めることが大切です。
家族の死別
配偶者や親しい親族の死別は精神的ショックが大きく、うつ症状やせん妄を誘発し認知症の進行を早める要因となります。悲嘆ケアやグリーフカウンセリングを活用し、心理的サポートを行いましょう。
認知症が一気に進む場合の顔つきの特徴
認知症が急激に進行すると、言動だけでなく顔つきにも特有の変化が現れます。ここでは「表情の変化」「視線の乱れ」「口の動き」の3点から、早期発見に役立つサインを詳しく解説します。
表情の変化
以前は豊かだった表情が減少し、無表情や硬直した表情が目立つようになります。笑顔や驚いた表情など筋肉を動かす反応が鈍く、顔全体がマスクのようにこわばって見えることもあります。また、不安や困惑を示すしかめっ面や眉間のしわが常に刻まれている場合は、認知機能の急激な低下が疑われます。
視線
相手の目を追えず、会話中でも視線が定まらない特徴があります。遠くをぼんやりと見つめたり、視線が忙しく左右に動いたりすることがあります。さらに、焦点が合っていないことで「眼球運動障害」の兆候が現れ、まばたきの回数が減ることもあります。
口の動き
言葉を発しようと口を動かしても、唇や舌の動きが不自然で発音が不明瞭になることがあります。また、食事中に嚥下(えんげ)のリズムが乱れ、よだれや食べこぼしが増える場合は、口周りの筋力低下が認知症の急進行とともに進んでいるサインです。
認知症が一気に進むのを防ぐ対策
生活習慣の改善
バランスの取れた食事
魚や大豆製品、緑黄色野菜、海藻、果物を組み合わせた日本食中心の食事は、脳細胞を守るDHA・EPAや抗酸化ビタミンを効率よく摂取できます。毎食、主食・主菜・副菜をそろえ、塩分や糖分を控えめにすることで血管性リスクを下げ、認知機能の低下を抑制します。
適度な運動
週に3~5回、1回30分程度のウォーキングやラジオ体操、スクワットなどの有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせましょう。継続的な運動は脳への血流を改善し、海馬の神経新生を促進するとされ、認知機能の維持・向上に有効です。
質の高い睡眠
毎日同じ時間に就寝・起床し、寝室は遮光カーテンや安眠マットレスで快適に整えます。就寝前のスマートフォンやテレビは控え、ホットミルクや白湯でリラックス。深い睡眠が脳の老廃物を排出し、認知機能の悪化を防ぎます。
認知機能の維持・向上
知的活動
クロスワードや数独、パズル、読書などの頭を使う趣味を日々取り入れます。ニンテンドーDS用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」など、科学的に効果が示された脳トレアプリも活用するとよいでしょう。
社会参加
地域の高齢者サロンや趣味のサークル、ボランティア活動に参加して人との会話や共同作業を楽しみます。コミュニケーションや役割を持つことで、抑うつや孤立を防ぎ、認知機能低下のリスクを軽減します。
医療機関との連携
定期的な受診
かかりつけ医や地域のもの忘れ外来でMMSE(簡易認知機能検査)やMoCA-J(モカ・ジェイ)などの検査を半年~年1回程度受け、変化を早期に把握します。血圧・血糖値・コレステロールも同時に管理し、脳血管疾患の予防に努めましょう。
早期発見・早期治療の重要性
認知機能の低下が見られたら早めに専門医を受診し、薬物療法(ドネペジル、リバスチグミンなど)を検討します。また、音楽療法や回想法、作業療法といった非薬物療法を組み合わせることで、進行を遅らせる効果が期待できます。
認知症が一気に進む場合の家族の対応
適切なコミュニケーション
認知症の進行に伴い、言葉の理解や記憶が不安定になると、せん妄や混乱状態に陥りやすくなります。家族は短く平易な言葉を使い、優しい声のトーンで話しかけることを心がけましょう。
相手の目を見て、ゆっくりと一定の間を置いて話すことで安心感を与えます。また、身振り手振りや表情を交えて言葉以外の情報も補足すると、意図が伝わりやすくなります。
質問する際は「~できる?」よりも「~しましょうね」といった肯定的な表現を用い、相手の自己肯定感を支える声かけを行いましょう。
筆談やイラスト、写真などの視覚的ツールを活用し、誤解や不安を減らす工夫も効果的です。特に重要な約束や予定はホワイトボードに書き出し、日々の見通しを持たせてあげてください。
安全な環境づくり
転倒や事故を防ぐため、住まいのバリアフリー化が重要です。廊下や階段には手すりを設置し、段差はスロープやマットで緩和しましょう。
床は滑りにくい素材のカーペットを敷き、家具の角にはクッションガードを取り付けます。暗い場所ではセンサーライトや常夜灯を活用し、夜間の移動をサポートしてください。
薬や刃物、洗剤などの危険物は施錠できる収納に入れ、誤飲・誤使用を防ぎます。また、火の元には自動消火機能付きの調理機器やガス漏れ警報器を設置するのも有効です。
大きめのカレンダーや時計、写真付きの家族紹介ボードをリビングに掲示し、日付や顔ぶれが一目で分かる環境を整えることで安心感を高め、見当識障害の緩和を支援します。
介護サービスの利用
家族だけでのケアには限界があります。お住まいの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所へ早めに相談し、ケアマネジャーとともにケアプランを作成しましょう。
訪問介護(ホームヘルプ)や訪問看護を利用し、専門職による日常生活支援やバイタルチェックを定期的に受けることで、身体的・精神的な急変を予防できます。
デイサービス(通所介護)や認知症対応型デイケアに参加して、集団活動やリハビリテーションを取り入れることで、認知機能の維持・向上が期待できます。
ショートステイやグループホームなど、期間を区切った施設サービスを組み合わせることで、介護者の休息(レスパイトケア)を確保しながら、一貫したケアを続けられます。
まとめ
認知症の急激な進行を防ぐには、複数の要因を総合的に把握し、早期対応を心がけることが重要です。脳卒中や感染症、脱水、薬剤副作用などが背景にあり、早期診断と治療、食事・運動・睡眠の改善、知的活動や社会参加が効果的です。顔つきの変化に気づいたらすぐ受診し、介護サービスを利用して安全・安心な生活環境を整えましょう。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
