墓じまいとは?費用や手続き、墓じまいが進む背景も解説
2025/05/19

本記事では「墓じまい」の定義から費用相場、手続きの流れ、改葬や永代供養、閉眼供養、墓石撤去まで網羅解説。少子高齢化や核家族化による継承者不在や負担増が背景にあるため、戸籍謄本や印鑑証明などの必要書類、悪徳業者の見分け方、費用を抑えるコツ、Q&Aによる疑問解消、ステップごとの手順まで分かります。手続き期間の目安や注意点、手数料の内訳、改葬許可取得手順も紹介するので、初めての方も安心して準備を進められます。
目 次
墓じまいとは
墓じまいとは、先祖代々から受け継いだ墓石や墓碑を撤去し、墓所を更地に戻す一連の手続きを指します。一般的に「閉眼供養(魂抜き)」を行った後、遺骨を取り出して改葬先へ移動し、行政への改葬許可申請や墓地管理者への各種手続きを経て完了します。少子高齢化や核家族化、後継者不在などの社会背景を受け、永代供養墓や樹木葬、納骨堂などへの移行を検討するケースが増えています。
墓じまいの定義と概要
墓じまいは、大きく分けて以下の工程で進められます。まず僧侶を招いて墓石の前で閉眼供養を行い、故人の魂を抜きます。次に専門業者が墓石を撤去し、基礎部分を含めて更地化します。その後、改葬先を決定し、行政に改葬許可申請を行ったうえで遺骨を新たな納骨施設へ移動します。永代供養料や撤去費用、申請手数料など、各工程に応じた費用と手続きを一括して進めるのが一般的です。
墓じまいが必要となるケース
墓じまいを検討すべき主なケースは以下のとおりです。
- 承継者がいない、もしくは親族に承継を希望する者がいない場合
- 転勤や転居などで墓地が遠方となり管理が困難になる場合
- 墓地の管理費や修繕費が家計に重くのしかかる場合
- 先祖の宗旨・宗派から別の宗教・宗派へ改宗・改葬したい場合
- 永代供養墓や樹木葬、納骨堂など新たな供養形態へ移行したい場合
これらの事情を背景に、維持負担の軽減や家族構成の変化に合わせた新たな供養方法を選択するため、墓じまいを行う家庭が増加傾向にあります。
墓じまいの種類
墓じまいには主に「改葬」「閉眼供養」「墓石の撤去と更地化」の3つの種類があります。それぞれの特徴や手続き、注意点を詳しく解説します。
改葬
改葬とは、現在の墓地から別の墓地や永代供養墓、納骨堂、合葬墓、樹木葬、散骨などへ遺骨を移す手続きを指します。遠方への引越しや後継者不在、経済的負担の軽減を目的に選ばれることが多い方法です。
改葬の主なケース
・寺院墓地から公営霊園・民営霊園への移動
・永代供養墓・納骨堂・合葬墓への改葬
・樹木葬や散骨サービスへの改葬
改葬手続きのポイント
1. 現在の墓地管理者から改葬の同意を得る
2. 市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出
3. 必要書類(戸籍謄本、改葬許可申請書、墓地使用承諾書など)を準備
4. 改葬許可証を受領後、遺骨を新規霊園へ移動
閉眼供養(魂抜き)
閉眼供養は「魂抜き」とも呼ばれ、墓石や仏像に宿るとされる故人や先祖の〈魂〉を抜く仏教儀礼です。墓じまいの前に実施することで、遺骨や墓石を撤去した後の宗教トラブルを避けます。
実施場所と費用相場
・菩提寺(檀家寺)や寺院墓地で依頼
・宗教不問の葬祭業者や寺院による対応も可能
・お布施・読経料の相場:3万円~10万円程度
閉眼供養の当日の流れ
1. 僧侶による読経・お経の唱和
2. 戒名や位牌の前での読経
3. 遺骨の一時取り出し
4. 閉眼後、墓石撤去へ移行
墓石の撤去と更地化
墓石の撤去と更地化は、墓石本体および基礎コンクリートを専門業者が取り除き、元の墓地を更地の状態で返還できるように整える作業です。
撤去作業の内容
・石材店や建設業者による墓石の切断・搬出
・基礎コンクリートの解体・撤去
・撤去後の石材は廃棄またはリサイクル処分
・遺骨は指定の骨壺に収め、改葬先へ移動
更地化後の対応
1. 作業完了報告書の作成
2. 墓地管理者へ更地返還の申請
3. 公営霊園の場合、使用料の一部返還手続きが可能
4. 墓地使用権の解除・登記変更など
墓じまいの費用相場
墓じまいにかかる費用は主に「墓石の撤去費用」「永代供養料」「改葬にかかる費用」「その他諸費用」の4項目に分かれます。各項目の相場や内訳、見積もり時の注意点を把握し、業者選定や予算計画にお役立てください。
墓石の撤去費用
墓石の撤去費用は10万〜30万円が目安です。具体的には外柵や供養塔の解体、基礎コンクリートの破砕・撤去、産業廃棄物としての処分費用、運搬費などを含みます。石材の種類(御影石・中国産石材など)や墓石の大きさ・段数、重機使用の有無、アスベスト対策の要否により、40万円以上となる場合もあります。必ず現地調査を依頼し、内訳を確認しましょう。
永代供養料
永代供養料は5万〜50万円が相場です。合祀墓(合同供養)は5万〜15万円、個別納骨壇や合葬式墓地は20万〜30万円、納骨堂や永代使用権付き永代供養墓は30万〜50万円程度です。管理費や法要料(年忌法要・開眼法要)、塔婆供養料などの有無で総額が変わるため、見積もり時に含まれる項目を細かく確認しましょう。
改葬にかかる費用
改葬に必要な主な費用は、改葬許可証の申請手数料(自治体により0円〜数千円)と遺骨の運搬費用です。運搬費は距離や搬送方法(自家用車や専門業者利用)で2万〜10万円が相場。さらに、古い骨壺の買い替え(5千円〜2万円)や収骨容器の購入費用、改葬許可申請に必要な戸籍謄本・除籍謄本の発行手数料(1通あたり300〜750円)も合わせて見積もりましょう。
その他諸費用
閉眼供養(魂抜き)の読経料は3万〜8万円、お布施を含めると5万〜10万円程度が一般的です。加えて更地化のための整地・舗装費用(2万〜10万円)、行政手続き代行の報酬(1万〜3万円)、現地清掃費用、追加の法要費用やお供え物代などが発生するケースもあります。予算を超えないよう、事前に内訳を明確にしておきましょう。
墓じまいの手続きと流れ
受入れ霊園の決定
まず、遺骨を移す先となる霊園や納骨堂を選びます。永代供養や合祀、個別永代使用などプランや費用を比較し、アクセスや管理状況も確認しましょう。見学予約をして現地を下見し、管理者(寺院や霊園事務所)と契約条件をすり合わせた上で、使用許可を得ます。
閉眼供養・魂抜き
既存の墓石や位牌においては、閉眼供養(魂抜き)が必要です。寺院や神職に依頼し、読経やお祓いを受けたうえで僧侶から「閉眼証明書」を発行してもらいます。宗派によって儀式の名称や手順が異なるため、事前に内容と費用を確認し、日取りを調整してください。
墓石の撤去と更地化
閉眼供養後、専門業者に墓石本体や外柵を撤去してもらいます。解体・運搬・処分まで含む見積もりを複数社から取り、工期や費用、保障内容を比較検討しましょう。撤去が完了すると、墓所は更地化され、承継者がいない場合は管理者へ返還する手続きが進みます。
遺骨の移動
遺骨を取り出す際には、石材店や寺院の立会いのもとで骨壺を開封し、新しい骨壺に納め替える場合もあります。移送中の破損防止や遺骨の混在を避けるため、事前に梱包方法や棺、骨壺の仕様を確認しましょう。運搬は自家用車でも可能ですが、専門の霊柩運送サービスを利用すると安心です。
改葬許可証の取得
遺骨を移動させるには、故先の墓地を管轄する市区町村役場で「改葬許可申請書」を提出し、許可を受けます。申請には閉眼証明書や使用者の印鑑証明書、改葬先の承諾書(霊園管理者の署名捺印)が必要です。許可証を受領後、許可証の原本を添えて新しい墓所へ届け出ることで改葬手続きが完了します。
墓じまいが進む背景
少子高齢化の影響
地方を中心に進行する少子高齢化により、跡継ぎとなる子世代が減少しています。高齢化率の高い地域では、墓地の管理や年忌法要を担う人手が不足し、墓石の維持や草刈りなどの管理作業を継続することが困難になりつつあります。その結果、遺骨を改葬して永代供養墓や共同墓へ移す「墓じまい」を検討する家庭が増えています。
核家族化の進行
都市部への転勤や就職を機に、親世代と離れて暮らす核家族が一般化しています。地域の寺院や霊園へのアクセスが悪化し、法要や墓参りの機会が減少することで、遠方にある墓所の管理コストや移動負担が家族にのしかかります。こうした状況を背景に、墓所を更地化し改葬許可を取得して永代供養へ切り替えるケースが増えています。
承継者の不在
未婚化や子どものいない夫婦、単身世帯の増加により、法定相続人として墓を継ぐ人がいない家庭が目立つようになりました。親族同士での合意形成が難航すると、墓石の撤去や永代供養への移行を視野に入れざるを得ません。改葬に際しては改葬許可証や戸籍謄本などの手続きが必要ですが、承継者不在の場合は専門業者のサポートを利用することも一般的です。
経済的な負担
墓地使用料や管理費、年忌法要にかかる寺院への謝礼など、墓所を維持するための費用は家計に大きな負担となります。特に都心部の霊園では永代使用料が数百万円に達することもあり、相続税対策や土地活用の観点から墓じまいを選択するケースがあります。また、墓石を撤去して更地化し、土地を売却することで資産を有効活用する家庭も増えています。
価値観の変化
近年では宗教観や葬送のあり方に対する価値観が多様化し、墓地を持たずに散骨や樹木葬、納骨堂といった代替的な供養方法を選ぶ人が増えています。とりわけ環境面やコスト面を重視した永代供養に魅力を感じる層が拡大中です。このようなニーズの高まりが、従来の「先祖代々の墓」を見直し、墓じまいを進める背景となっています。
墓じまいの注意点
親族間の合意形成
墓じまいは家族や親族の感情にも大きく影響するため、早めに関係者全員で意思疎通を図りましょう。特に承継者が不在の場合は、代襲相続人や親戚にも声をかけ、どのような形で墓じまいを進めるかを共有しておくことが大切です。
また、地域で慣例的に行われる法要や合同供養の有無も確認し、合意が得られないまま手続きを進めるとトラブルに発展する可能性があります。できるだけ書面やメールで意見をまとめ、後日の認識違いを防ぎましょう。
宗教・宗派の確認
墓地や納骨堂が所属する寺院・霊園の宗派によって、閉眼供養(魂抜き)の方法や費用相場、必要な手続きが異なります。事前に寺院の住職や管理者に確認し、墓じまい後の永代供養の有無や追加費用の有無を把握しておきましょう。
供養方法の違い
例えば浄土真宗では阿弥陀仏への感謝を中心に法要を行い、日蓮宗では題目唱和(南無妙法蓮華経)など宗派独自の作法があります。各宗派の儀礼を尊重し、必要な仏具やお経本をそろえておくとスムーズです。
納骨堂や永代供養との連携
墓じまい後の遺骨を納骨堂や合祀墓、樹木葬などに預ける場合、利用条件や管理期間、追加費用が発生するケースがあります。契約書の条項をよく読み、更新料や解除規定を理解しておくことが安心につながります。
手続きの期間
改葬許可証の取得から墓石の撤去、遺骨の移動まで一連の手続きには通常1~3ヶ月程度かかります。特に役所の許可申請や寺院との日程調整は繁忙期(お彼岸・お盆前)に遅れやすいため、余裕をもって準備を始めましょう。
また、墓地使用権の解除期限や更地返却の締切がある場合もあるため、霊園管理者に確認し、契約期間内にすべての工程を終えられるスケジュールを組むことが重要です。
悪徳業者に注意
墓石撤去や更地化を依頼する際は、見積もりや契約内容があいまいな業者を避け、複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。相場とかけ離れた低価格や、一度契約すると追加費用が多発するケースに注意が必要です。
契約書と見積書の確認
作業範囲や費用内訳、完成後の保証期間などをすべて書面で確認し、口頭だけの約束がないかチェックしましょう。工事前に施工スケジュールや立会いの有無も明示しておくことで、トラブルを未然に防げます。
優良業者の選び方
地方自治体や寺院が紹介する認定業者、公益社団法人日本石材産業協会の加盟店など、公的な団体に所属しているかを確認すると安心です。インターネットの口コミや紹介実績を参考にし、担当者の対応やアフターフォロー体制も評価基準に入れて選びましょう。
墓じまいに必要なもの
墓じまいの手続きをスムーズに進めるには、下記の書類を事前に準備しておくことが重要です。自治体ごとに要件が異なる場合があるため、申請前に必ず管轄の市区町村役場へ確認してください。
印鑑証明書
墓じまいの改葬許可申請時には、所有者または申請者の実印登録証明書が必要です。登録印と実印が一致しているかを公的に証明する書類で、発行から3ヶ月以内のものを用意しましょう。
取得できる場所と手順
市区町村役場の窓口またはマイナンバーカード対応のコンビニ交付端末で申請できます。窓口では印鑑登録カードを提示し、申請書を記入してください。
発行にかかる費用
1通あたり約300円(自治体により300~500円程度)。即日発行が基本ですが、混雑時は数日かかる場合があります。
戸籍謄本
改葬許可申請では、遺骨の搬出元となる申請者の戸籍抄本または謄本が必要です。申請者と墓地所有者の続柄を証明し、関係性を明確にする目的があります。
取得先
本籍地の市区町村役場で申請します。委任状があれば代理人による取得も可能です。
有効期限と注意点
発行後3ヶ月以内が有効とされることが多いですが、自治体によって異なるため事前に確認を。旧姓や改姓がある場合は最新の戸籍情報を取得してください。
改葬許可申請書
遺骨を他の墓地や納骨施設へ移す際に必須となる書類です。現在の墓地を管理する市区町村役場で配布しており、所定の様式に必要事項を記入します。
申請先と提出先
遺骨を搬出する墓地の所在地を管轄する市区町村役場で申請し、同じ窓口に提出します。窓口での受付時間や休日を事前に確認しましょう。
添付書類一覧
改葬許可申請書のほか、以下の書類を同時に提出します:
- 印鑑証明書(発行3ヶ月以内)
- 戸籍抄本または謄本(発行3ヶ月以内)
- 埋蔵証明書(墓地管理者発行、墓石撤去前後の証明書)
- 改葬先の受入証明書(永代供養施設や新墓地の管理者発行)
墓じまいのよくある質問
Q. 墓じまいにかかる期間はどれくらい?
墓じまいは準備段階から完了までおおむね1~3ヶ月程度かかります。具体的には、受入れ先霊園や永代供養施設を選ぶ期間(2週間~1ヶ月)、閉眼供養や魂抜きの手配(1週間~2週間)、改葬許可証の申請・取得(役所によって2週間前後)、墓石撤去と更地化工事(1~2週間)、遺骨の移動および新しい安置先への納骨(1週間程度)を順に進めます。自治体の休日や書類不備があるとさらに時間を要するため、余裕を持って計画しましょう。
Q. 費用を抑える方法はありますか?
墓じまい費用には墓石撤去費用、閉眼供養料、改葬に伴う運搬費、永代供養料、役所手数料などが含まれ、総額は30万~80万円前後が相場です。費用を抑えるポイントは以下のとおりです。
- 複数の石材店や墓じまい代行業者に一括見積もりを依頼し、比較検討する。
- 地域密着の石材店を利用すると、都市部よりも作業費や運搬費が安くなる場合がある。
- 合祀型永代供養や納骨堂への改葬を選ぶと、個別の墓石管理費が不要になり、維持コストを削減できる。
- 自治体や寺院が行う助成金制度・補助金を活用し、改葬許可申請費用や手数料の一部を軽減する。
- 親族間で共同購入やまとめて改葬を行うことで、閉眼供養や運搬の団体割引を受ける。
Q. 遺骨はどうすればいいですか?
墓じまい後の遺骨の扱いには、主に以下の選択肢があります。
- 永代供養墓・合祀墓:複数家族の遺骨を合同で供養。管理費が不要で経済的。
- 納骨堂:屋内型・ロッカー式など種類が豊富で、アクセスしやすい。
- 手元供養:自宅での小型骨壺や分骨ジュエリーを用いて身近に供養。
- 樹木葬:墓石を持たず、指定の樹木下や花壇で供養。自然志向の方に人気。
改葬先を選ぶ際は、宗旨・宗派の対応可否、管理期間、費用体系、アクセス環境などを事前に確認し、受入れ先から発行される「受入証明書」を改葬許可申請時に役所へ提出します。手続き後は新しい安置先で法要を行い、書類を墓地管理者へ届け出ることで完了となります。
まとめ
墓じまいは墓石撤去や閉眼供養、改葬許可取得など多岐にわたる手続きが必要で、費用は約30万~70万円が相場です。少子高齢化や核家族化による承継者不在が進む中、戸籍謄本・印鑑証明の準備や宗派確認、親族合意が大切。悪徳業者を避け、信頼できる業者選びで安心して進めましょう。永代供養や樹木葬など代替プランも視野に、無理なく計画的に進めると安心です。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
