ぎっくり腰で救急車は呼んだほうがいい?判断基準を紹介

2025/06/05

ぎっくり腰で救急車を呼ぶか迷う方向けに、痛みの強さや足の麻痺、排尿・排便異常など緊急性の高い症状の判断基準、#7119・かかりつけ医への相談方法、安静・応急処置、医療機関の選び方、救急隊到着後の発症時間や体位変換可否の伝え方、搬送先病院選び、救急車の適正利用まで解説。搬送先での検査・治療の流れや自己判断のリスクも紹介し、正しい判断と迅速な対応が可能です。

ぎっくり腰で救急車を呼ぶのはどんな時?基本の考え方

ぎっくり腰(急性腰痛)は、突然の腰部の激痛を伴うことが多く、動けなくなるほどの痛みを訴えるケースもあります。しかし、その多くは筋・筋膜の損傷や炎症が原因で、大半は安静や鎮痛剤の使用で改善が期待できます。救急車を呼ぶかどうかは、「命や重篤な後遺症の可能性があるか」「本人や付き添い者が安全に移動できるか」「適切な医療機関に速やかに到達できるか」を基準に判断しましょう。

まず考慮すべきは「救急搬送の必要性」です。安静で痛みが和らぎ、自力で座る・立つ・歩くなどの最低限の移動が可能であれば、救急車ではなく家族や友人の車、タクシー、あるいは時間外診療の整った医療機関への受診を検討します。搬送手段を確保できない場合や、痛みがあまりに強く自力での移動が著しく困難な場合は、救急車を要請する基準となります。

また、救急車利用は医療資源の適正配分という観点からも大切です。救急隊は心肺停止や重度外傷、脳卒中、呼吸困難などの緊急度が高い患者を優先的に支援するため、ぎっくり腰単独では原則的に最優先対象とはなりません。とはいえ、「強い痛みで動けない」「付き添いが全くいない」といった状況で、安全に病院へ行けないと判断した場合には救急車を呼んで問題ありません。

総じて、ぎっくり腰での救急車要請は「自力で移動可能か」「生命や神経機能に即時の危険があるか」「迅速な処置が必要か」という視点で判断しましょう。次に紹介するような“緊急性を示す赤旗症状”があれば、躊躇せず119番通報を検討してください。

ぎっくり腰で救急車を呼ぶべき緊急性の高い症状

足に力が入らない、麻痺がある場合

ぎっくり腰による激痛だけでなく、立ち上がれないほど足に力が入らない、あるいは下肢の感覚障害や脱力が見られる場合は、神経根や馬尾(ばび)神経の強い圧迫が疑われます。これは「馬尾症候群」の可能性があり、放置すると永久的な神経障害や排泄機能障害を招くリスクがあるため、速やかに救急車を要請してください。

排尿や排便に異常がある場合

トイレに行っても尿が出ない、尿が漏れる、便秘や失禁が急に起こった場合は、脊髄・馬尾神経の支配領域に異常が生じているサインです。自覚症状が乏しくても後遺症が残りやすいため、専門医によるMRI検査や神経学的評価が必要です。救急搬送で早急な診断と治療を受けましょう。

激しい発熱を伴う場合

腰の痛みとともに38℃以上の高熱が続くときは、化膿性脊椎炎や椎間板炎、あるいは他部位からの感染が腰部に波及している恐れがあります。感染性の病巣は進行が速く、敗血症(せいけつしょう)に至ることもあるため、抗生剤投与や入院治療が必要です。救急車で搬送して検査・対応を受けてください。

意識が朦朧とするなど全身状態が悪い場合

腰痛の発症と同時に冷や汗やめまい、嘔気、呼吸困難、血圧低下などが現れた場合、ショック状態や内臓損傷の可能性があります。心筋梗塞や大動脈解離など、腰痛と関連づけづらい重篤な疾患が隠れていることもあるため、自分で移動せず救急車を呼んでください。

頭を強く打ったなど外傷が原因の場合

転倒や高所からの落下、交通事故などで頭部や背部を強打したあとにぎっくり腰のような痛みが現れた場合は、脊椎骨折や脳震盪(のうしんとう)、髄膜損傷など重症外傷を伴っている可能性があります。動かすことで症状が悪化しやすいため、その場で安静を保ちつつ救急隊員に状況を伝え、医療機関へ搬送してもらいましょう。

ぎっくり腰で救急車を呼ぶか迷ったら確認すること

救急車を呼ぶべきか判断に迷うぎっくり腰の症状

ぎっくり腰は痛みの強弱や動けるかどうかで対応が異なります。以下の点を確認して、緊急性の有無を判断しましょう。

  • 痛みの程度:安静時や少し動いただけで激痛が走り、痛みが10段階で8以上の場合は要注意です。
  • 可動域:立ち上がりや歩行が自力でほとんど不可能な場合は、外部のサポートが必要となります。
  • 神経症状:脚や足先にしびれ、感覚異常、筋力低下がある場合は、脊髄や神経根の障害を疑います。
  • 全身状態:発熱や嘔吐、顔色不良など、腰以外の体調不良が伴う場合は、内科的緊急疾患の可能性も排除できません。

これらのうち一つでも当てはまる場合は、速やかに救急車の要請を検討してください。

#7119(救急安心センター事業)の活用

迷ったときには、医療的に適切な対応を判断するために「#7119(救急安心センター事業)」へ連絡しましょう。救急車要請の必要性や受診科の選択、近隣医療機関の案内など、24時間体制で専門の看護師・医師が相談に応じます。

電話をかける際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。

  • 年齢と性別
  • 発症時の状況や痛みの程度
  • 歩行やトイレ動作の可否
  • しびれや麻痺の有無
  • 発熱や嘔吐などの全身症状

かかりつけ医や医療機関への電話相談

かかりつけの整形外科や内科がある場合は、まずは診療時間内に電話で相談するのも有効です。治療歴や内服薬、過去の腰痛エピソードを伝えることで、医師から「救急搬送が必要か」「受診のタイミング」について具体的な助言が得られます。

かかりつけ医が不在の場合、地域の医師会や市区町村の健康相談窓口も活用しましょう。予約制や待ち時間の案内を受けられるため、救急車を呼ぶ前に落ち着いて対応策を確認できます。

ぎっくり腰で救急車を呼ばない場合の対処法

まずは安静にする

ぎっくり腰を発症した直後は、腰への負担を最小限にすることが大切です。硬すぎず柔らかすぎないマットレスや布団の上で、仰向けに寝て膝を軽く立てる姿勢をとりましょう。この姿勢を30分から1時間程度キープし、必要に応じて休憩を繰り返すことで痛みが和らぎやすくなります。

痛みが強い場合の応急処置

強い痛みにはまず冷却療法を取り入れます。タオルで包んだ保冷剤や氷嚢を患部に15分ほど当て、炎症と腫れを抑えましょう。その後、市販の鎮痛消炎剤(ロキソニンS、イブプロフェン配合薬など)を説明書に従って服用します。炎症が落ち着いたら、血行促進のために温湿布や入浴で温める温熱療法を併用すると回復が早まります。

適切な医療機関を受診する

安静や応急処置を行っても痛みが数日以上続く場合、あるいは日常動作に支障が出る場合は整形外科や整骨院を受診しましょう。事前に電話で症状と受診可能な検査(レントゲン、MRI、理学療法など)を確認すると安心です。理学療法士によるストレッチ指導や電気治療(干渉波、低周波療法)を受けることで、筋肉の緊張緩和と機能回復を図れます。

日常生活で気をつけること

再発予防には日常生活での姿勢と動作が重要です。重いものを持ち上げる際は腰ではなく太ももやお尻の筋肉を使い、前かがみになるときは腰を曲げずに膝を曲げるようにしましょう。長時間同じ姿勢を避け、1時間に1回は軽いストレッチや体を動かして血行を促してください。さらに、腹筋・背筋をバランスよく鍛えるエクササイズやカルシウム・タンパク質を含む栄養バランスの良い食事、十分な水分補給と良質な睡眠を心がけると、腰の回復力と耐久力が向上します。

ぎっくり腰で救急車を呼んだ後の流れと注意点

救急隊が到着したら伝えること

発症時の状況と痛みの具合

救急隊員が到着したら、ぎっくり腰がいつ、どのような動作で起こったかを詳しく伝えましょう。痛みの度合いは10段階評価で示すと、隊員が適切な応急処置や搬送判断をしやすくなります。

既往歴と服用中の薬

腰椎ヘルニアや骨粗鬆症などの既往歴、抗血栓薬や抗凝固薬などを服用している場合は必ず伝えてください。これにより、出血リスクや処置内容が変わることがあります。

現在の体位と動作制限

痛みが軽減する体位(膝を曲げて横向きに寝るなど)や、動けない体勢をそのまま保つ必要があるかどうかを説明します。無理に体位を変えると症状が悪化する恐れがあります。

搬送先の病院について

搬送先の科と病院選定

救急隊は整形外科や総合診療科のある医療機関へ搬送を調整します。可能であれば、整形外科の専門医が在籍している病院を優先的に選んでもらいましょう。

医療費と保険適用の確認

救急搬送は原則公費負担ですが、病院での入院・診療には健康保険が適用されます。後日、高額療養費制度の利用や自己負担額の確認をしておくと安心です。

救急車の適正利用について

適正利用の判断ポイント

ぎっくり腰全般が救急搬送の対象ではありません。歩行困難、脚の麻痺、排尿・排便障害、激しい発熱や全身状態の悪化がある場合に適正利用となります。

搬送後のフォローアップ

搬送先到着後、医師の診断に基づく治療計画が立てられます。コルセット装着やリハビリ、投薬による鎮痛処置など、再発防止のための生活指導も受けましょう。

不要な利用を避ける方法

緊急度が判断しにくい場合は、#7119(救急安心センター事業)やかかりつけ医への電話相談を活用し、救急車以外の受診方法を検討してください。

まとめ

足の麻痺や排尿障害、激しい発熱など赤旗症状があれば迷わず119番または#7119(救急安心センター)へ連絡し、救急搬送を依頼しましょう。一方、痛みが局所的で重度でなければ、まずは安静と冷温交代浴、市販のロキソニンや湿布で対処し、かかりつけ医や整形外科を早めに受診してください。救急車は必要時に適正利用を心がけましょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。