葬祭費の請求方法について解説
2024/12/27

本記事では葬祭費とは何かを解説し、支給対象者や支給額の概要、国民健康保険・後期高齢者医療制度・協会けんぽ・組合健保ごとの請求先や手続きの流れ、必要書類、提出期限を丁寧に紹介します。さらに葬祭費が支給されないケースや注意点、併給可能な給付金も網羅し、喪主がスムーズに申請できる方法を解説します。
目 次
葬祭費とは葬儀費用の負担を軽減する制度
葬祭費は、健康保険法第62条や国民健康保険法第78条に基づき、公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度など)の被保険者やその被扶養者が死亡した際に、喪主や葬祭実施者が葬儀に要した費用の一部を定額で給付される制度です。葬儀社への支払い、火葬料、式場利用料、返礼品などの実費を補填し、遺族の経済的負担を和らげることが目的となっています。
葬祭費の支給対象者と支給額
支給対象者は、加入していた公的医療保険の被保険者またはその被扶養者が死亡し、葬儀を執り行った喪主や葬祭実施者です。申請は死亡日から2年以内に行う必要があり、申請窓口に所定の必要書類を提出することで給付申請が受理されます。
支給額は保険の種類によって異なりますが、国民健康保険・後期高齢者医療制度では一律50,000円、協会けんぽや組合健保など健康保険組合でもおおむね同額の埋葬料が支給されるのが一般的です。保険者によって細かな額や手続き要件に差があるため、加入先の自治体窓口や保険組合の案内を確認してください。
葬祭費の請求先は加入していた健康保険によって異なる
葬祭費を請求する際は、故人が加入していた健康保険制度に応じて手続きを行う窓口が変わります。ここでは国民健康保険、会社員の健康保険(協会けんぽ・組合健保)、後期高齢者医療制度の3つに分けて請求先と窓口の概要を解説します。
健康保険の種類を確認する
まずは故人の保険証をもとに、加入していた制度を確認してください。自営業者や退職者は国民健康保険、会社員や公務員は協会けんぽまたは組合健保、75歳以上で保険料が軽減される方は後期高齢者医療制度に加入しているケースが一般的です。加入先がわからない場合は、以下の窓口で証明書発行を依頼できます。
- 勤務先の総務・人事部門
- 市区町村役場の国保担当課
- 後期高齢者医療広域連合の事務局
国民健康保険の場合の請求先
請求先:故人の住所地の市区町村役場 国民健康保険担当窓口
請求権者(申請者)は故人と同一世帯の世帯主や喪主となることが一般的です。以下の窓口で申請書を受け取り、必要書類を添えて提出します。
- 請求窓口:市区町村役場 健康保険年金課または国保担当窓口
- 提出方法:窓口持参または郵送
会社員が加入する健康保険の場合の請求先
請求先:加入していた健康保険組合(協会けんぽ都道府県支部、組合健保本部など)
会社を通じた手続きが原則で、勤務先の総務部門または人事労務担当に連絡し、所定の葬祭費支給申請書を入手してください。申請にあたっては以下を用意します。
- 故人の健康保険証番号が確認できる被保険者証
- 死亡診断書の写しまたは死亡届受理証明書
- 請求書(保険者指定の申請書様式)
後期高齢者医療制度の場合の請求先
請求先:故人の住所地を管轄する後期高齢者医療広域連合
申請書類は市区町村役場の後期高齢者医療担当窓口で受け取り、広域連合宛に郵送または役場窓口へ持参します。自治体によって必要書類や郵送先住所が異なるため、事前にWEBサイトや電話で確認してください。
- 必要書類:申請書、健康保険証(被保険者証)の写し、死亡届受理証明書など
- 提出期限:死亡の日から2年以内(各自治体の規定に従う)
葬祭費の具体的な請求方法と流れ
国民健康保険・後期高齢者医療制度の葬祭費請求手続き
必要書類と入手先
葬祭費を請求する際には、以下の書類を揃えます。各書類は市区町村役場の国民健康保険課または後期高齢者医療担当窓口、市区町村の公式ウェブサイトで取得できます。
- 死亡診断書または死亡届受理証明書
- 戸籍謄本または戸籍抄本(故人の死亡が記載されたもの)
- 葬儀費用の領収書(式場名・金額・日付が明記されたもの)
- 国民健康保険証または後期高齢者医療被保険者証の写し
- 葬祭費請求書(市区町村指定の様式)
- 請求者の通帳コピー(振込先口座の確認資料)
申請窓口と提出方法
窓口での申請と郵送申請のいずれかを選べます。
- 窓口提出:お住まいの市区町村役場 国民健康保険課または後期高齢者医療担当窓口に必要書類を持参します。受付時間や休業日に注意してください。
- 郵送提出:封筒に書類一式を同封し、担当部署宛てに簡易書留など記録が残る方法で送付します。送付先住所は市区町村の案内をご確認ください。
請求期限
請求期限は、被保険者が死亡した日または葬儀を行った日から 2年以内 です。期限を過ぎると請求できないため、早めに手続きを進めましょう。
会社員が加入する健康保険(協会けんぽ・組合健保)の埋葬料請求手続き
必要書類と入手先
会社員が加入する健康保険では「埋葬料」と呼ばれる給付金を請求します。以下の書類を準備し、所属する健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)のウェブサイトや事業所の総務・人事部窓口で用紙を入手してください。
- 死亡診断書または死亡届受理証明書
- 戸籍謄本または戸籍抄本(故人の死亡を確認できるもの)
- 葬儀費用の領収書(埋葬料として認められる費用が記載されたもの)
- 健康保険被保険者証の写し(故人のもの)
- 埋葬料請求書(保険組合・協会けんぽ所定様式)
- 振込先金融機関の通帳コピーまたはキャッシュカードの写し
申請窓口と提出方法
請求は通常、勤務先の総務・人事部を通じて手続きを行います。
- 勤務先窓口:健康保険証を管理する総務・人事担当部署に書類を提出し、事業所から健康保険組合または協会けんぽへ送付してもらいます。
- 直接申請(組合健保のみ):組合健保が個別対応を認めている場合、本人(喪主)が組合支部窓口に書類を持参または郵送できます。
請求期限
埋葬料の請求期限は、故人死亡日または葬儀日から 2年以内 です。会社員の場合でも同様に期限厳守で手続きを行いましょう。
葬祭費を請求する際の注意点
葬祭費が支給されないケース
葬祭費の支給には、被保険者の死亡が確認できる「死亡診断書」や「埋葬許可証」、葬儀費用の領収書が必要です。申請書に不備がある、保険証の返却が済んでいない、あるいは葬儀を代行した業者への支払い証明がない場合などは支給対象外となるので十分に書類チェックを行いましょう。
また、葬儀費用を公的扶助や他の給付金で全額賄っている場合や、葬儀を自己都合で中止したケースは葬祭費支給の対象外になります。
請求は喪主が行うのが一般的
葬祭費の請求手続きは原則として喪主(申請者)または代表者が行います。代理で申請する場合は「委任状」と代理人の印鑑証明書が必要になるため、事前に委任状の書式を市区町村窓口や健康保険組合のホームページから入手し、正しく記入してください。
申請書類には申請者の自署が求められることが多いため、電子申請ではなく窓口提出を選ぶ場合もあります。各保険者ごとの提出方法に従い、必要書類のコピーではなく原本を持参するよう注意しましょう。
葬祭費以外にも受け取れる可能性のある給付金
葬儀にかかる経済的負担を軽減する制度は葬祭費だけではありません。被保険者が国民年金加入者だった場合は「死亡一時金」が、厚生年金加入者だった場合は「遺族年金」の支給要件に該当する可能性があります。
また、労働災害が原因で亡くなった場合は「葬祭料」が労災保険から支給され、各市区町村が独自に実施している「葬祭費補助金」や福祉制度も活用できる場合があります。重複して申請できるかどうかは制度ごとに異なるため、各窓口で支給要件を確認してください。
まとめ
葬祭費は故人が加入していた健康保険により請求先・必要書類が異なります。国民健康保険・後期高齢者医療制度は市区町村窓口、協会けんぽ・組合健保は加入先窓口で申請。支給額は自治体・保険組合で異なりますが、5万円程度が目安です。申請期限は2年以内。喪主が手続きを行い、支給されないケースや他の給付金併用にも注意しましょう。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
