形見分けは現金でも可能?注意点やマナーを紹介
2025/04/11

形見分けで現金の贈与を検討する方に向け、本来の意義やマナー、適切な金額相場、渡し方やお礼状の書き方、税金の扱い、メリット・デメリットや相続との違いまでわかりやすく解説します。
目 次
形見分けとは何か
形見分け(かたみわけ)とは、故人が残した品物を親族や友人、知人に分け与え、思い出を共有する日本の伝統的な慣習です。遺品整理の一環として行われることが多く、故人にまつわる品を手元に残すことで、思い出をいつまでも大切に記憶にとどめる意味があります。
そもそも形見分けの本来の意味とは
「形見」は、文字通り形(かたち)として残る見(しるし)=思い出の品を指します。江戸時代には武士が討ち死にした際、鎧や兜を家族や同僚に分かち合ったのが始まりとされ、その後庶民にも広まりました。現代では遺品整理と並行しつつ、故人の人柄や日常を感じられる小物、衣服、写真、書籍などを形見分けとして贈るのが一般的です。
形見分けをする目的
形見分けには大きく三つの目的があります。第一に、故人を偲ぶ心を分かち合うことで喪失感を和らげること。第二に、遺族がすべての遺品を保管しきれない場合に適切に品物を配分し、廃棄を避けること。第三に、故人の愛用品を親しい人へ譲ることで、故人との絆を未来へつなぐことです。これらは葬儀後の四十九日法要や一周忌の法事など、節目のタイミングで行われることが多いでしょう。
故人の思い出の品を形見分けする意義
形見分けは単なる物のやり取りではなく、故人と受け取る側双方の心をつなぐ儀礼です。受け取った人は、毎日の生活の中でその品を目にするたび故人を思い起こし、追悼の気持ちを新たにできます。また、遺族側も大切な品を手放すことで心の整理が進み、遺品整理や相続手続きの精神的負担が軽減されます。
形見分けに現金を選ぶということ
形見分けに現金は失礼にあたらないのか
故人の思い出を形に残すという意味合いが強い形見分けでは、一般的に品物が選ばれます。しかし、遠方で保管が難しい場合や故人の遺志で「皆に公平に分けたい」という場合には、現金も立派な形見分けの一つです。ただし、渡し方や金額に配慮しないと「味気ない」「相続のようだ」と感じられることもあるため、心遣いを添えることが大切です。
現金の形見分けのメリット・デメリット
メリット
・受け取った側が自由に使えるため、故人を偲ぶ気持ちを形に変えやすい。
・遠方の親族や友人にも負担なく送れる。
・保管場所を取らず、不要品を生み出さない。
デメリット
・記念品としての情緒や思い出深さが得られにくい。
・高額すぎると相続財産の一部とみなされ、他の相続人との間に誤解が生じる恐れがある。
・単に金銭を渡すだけだと「味気ない」「無機質」と受け取られる可能性がある。
形見分けに現金を渡す際の適切な金額の相場
形見分けの金額は、一般的には5000円から1万円程度が目安です。故人との親密度や受け取る側の年齢を考慮し、あまり高額になりすぎないように調整しましょう。遺族間で事前に上限を決めておくと、トラブルを避けられます。
形見分けの現金の渡し方
現金を渡す際は、封筒やのし袋に入れて丁寧に包むことが基本です。紅白の水引は淡路結びを選び、表書きは「お志」「御霊前」ではなく「形見分け」とだけ記すと目的が明確になります。中袋には新札を折らずに入れ、封筒の外側に金額を記入したうえで、手渡しの際には一言添えて渡しましょう。
形見分けの現金以外の品物
形見分けに適した品物
故人の思い出や想いを形として残せる品物は、受け取る側にも喜ばれ、日常の中で自然に使い続けてもらえます。サイズや重さがほどよく、保管や展示がしやすいものを選ぶとよいでしょう。
- 写真アルバム・フォトフレーム:家族旅行や行事の写真をまとめ、リビングや棚に飾りやすい
- 手書きの手紙・日記:故人の人柄や言葉をそのまま受け継げる心温まる品
- 和食器(茶碗、湯呑み、漆器):割れにくく日常使いに適した上品なデザイン
- 酒器(徳利、ぐい呑み、盃セット):お酒好きの故人を偲びながら晩酌の席で活用できる
- アクセサリー(結婚指輪、ネックレス、和装用髪飾り):大切な節目に使える特別な一品
- 掛け軸・版画:部屋のインテリアとして長く楽しめる芸術品
- 文房具(万年筆、書道具セット):書くことや手紙文化を大切にしていた故人にふさわしい
- 布製品(風呂敷、手ぬぐい、端切れの着物生地):日本の伝統美を感じる実用的な贈り物
形見分けに適さない品物
以下のような品物は、受け取る側の負担や衛生面、感情的な配慮から避けることをおすすめします。
- 生鮮食品・生花:日持ちせず、管理や処分に手間がかかる
- 大型家具・家電:運搬や設置場所が限られ、引き取り手の負担が大きい
- 下着・肌着などプライベートな衣類:衛生的配慮と受け取る側の心理的負担
- 借用書や負債に関わる書類:金銭的・精神的なトラブルの原因になるおそれ
- ペット用品(ケージ、餌皿など):飼育環境やアレルギーなど、責任が重い
- 傷みやすい紙もの(古い書籍、新聞のスクラップ):劣化しやすく長期保存に不向き
形見分けの注意点とマナー
形見分けを辞退する場合の伝え方
やむを得ない事情で形見分けを辞退する際は、誠意を持ってお断りの気持ちを伝えることが大切です。直接会うか電話で連絡し、失礼のない文言を選びましょう。
- 冒頭でお悔やみの言葉を述べる
- 体調不良や家庭の事情など簡潔に理由を説明する
- 形見分けの趣旨を理解している旨と感謝を伝える
- 相手の労をねぎらう一言を添える
メールやLINEでは誤解を生む恐れがあるため、電話や直接会って話すのが望ましいでしょう。
形見分けのお礼状の書き方
形見分けを受け取ったら、できるだけ早く(1~2週間以内に)お礼状を送るのがマナーです。手書きの便箋や礼状用封筒を用い、以下の構成に沿ってまとめましょう。
- 頭語・時候の挨拶:「拝啓 ○○の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」など
- お礼の言葉:具体的な品目や金額に触れずに感謝を伝える
- 故人への想い:「故○○も喜んでいることと存じます。」などの一文を添える
- 結語・日付・差出人名:「敬具 令和○年○月○日 ○○(住所・氏名)」
便箋は二つ折りにし、封筒にはお礼状と必要に応じて切手を同封すると丁寧です。
形見分けでもらった現金の使い道
形見分けの現金は自由に使えるものですが、故人や遺族への気持ちを忘れずに活用するとより心が伝わります。
- 仏壇やお墓の維持費・お盆・お彼岸の供え物
- 故人の趣味や生前活動に関連する寄付や支援金
- 追悼法要や会食費用の一部に充てる
- ご遺族や他の親戚へのお返し費用として使う
使い道を決めたら、簡単な内訳を書いたメモを遺族に渡すと透明性が保て、感謝の気持ちも伝わりやすくなります。
形見分けの現金に関するよくある質問
形見分けの現金に税金はかかる?
形見分けとして渡される現金は、故人の相続財産の一部とみなされるため、相続税の課税対象になる可能性があります。相続税には「基礎控除額」(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があるため、控除額以内であれば非課税です。
相続税が発生する場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付しなければ延滞税や加算税がかかります。高額な現金を形見分けするときは、必ず遺産総額を把握し、税理士など専門家に相談して申告の準備を進めましょう。
形見分けの現金の相続との違いは?
形見分けは、故人を偲ぶ目的で思い出の品や現金を自由に贈る慣習です。一方、相続は民法に定められた手続きに基づき、遺産を法定相続人で分割承継する行為です。
現金を形見分けとして渡す場合でも、遺産分割協議の対象となるため、相続分や遺留分(法定相続人が最低限受け取れる取り分)との調整が必要です。特定の相続人に偏った金額を渡すと、ほかの相続人から遺留分侵害として返還請求を受ける場合があります。
トラブルを避けるには、形見分けの現金額を遺産分割協議書に記載し、相続人全員の同意を得たうえで手続きを進めましょう。
まとめ
形見分けは現金でも失礼にあたらず、メリットとして受け取りやすさや使い道の自由度の高さが挙げられます。一方、金額の相場や封筒・ポチ袋の選び方に加え、新札は避けるといった細かな配慮も忘れずに。
現金以外では故人の愛用品や写真立て、茶碗などが適しており、断る場合は電話や直接面会で誠実に伝えましょう。
お礼状には時候の挨拶と具体的な感謝を添え、税金や相続との違いもしっかり確認しておくことが重要です。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
