実家を賃貸に出すメリット・デメリットを解説

2025/06/20

実家が空き家化して困っていませんか?本記事では、賃貸経営のメリット・デメリット、必要な手続きやリフォーム費用、税制面のポイントまで網羅的に解説。信頼できる不動産会社の選び方も紹介し、安定収益を得るポイントがすぐにわかります。また、空室リスクの回避策や節税効果、遠方管理のポイントも分かりやすく解説します。

空き家になった実家を賃貸に出すという選択肢

近年、全国各地で増加する空き家問題への対応策として、実家を賃貸物件として活用する動きが高まっています。単に放置して維持費や固定資産税の負担を抱えるよりも、賃貸収入を得ながら資産価値を維持する方法として注目されています。本章では、「なぜ今、実家を賃貸に出すのか」と「空き家問題を解決する賃貸の可能性」という2つの視点から、その背景とメリットを整理します。

なぜ今、実家を賃貸に出すのか

少子高齢化や人口減少により地方の空き家は年々増加し、市区町村が提供する「空き家・空き地バンク」に登録される物件も多く見られます。実家を単純に売却する場合、相続手続きや売却時の仲介手数料、土地の位置条件によっては想定価格で売れないリスクがあります。一方、賃貸に出せば毎月安定した家賃収入を得られ、相続対策としても有効です。また、賃貸中は住宅ローンを完済していなくても賃料から返済に充てられるケースがあり、維持費や固定資産税削減の面でもメリットが大きいと言えます。

空き家問題を解決する賃貸の可能性

地域活性化や地方創生の観点でも、空き家を賃貸化する意義は高まっています。若年層の移住促進を目的に市町村が家賃補助制度を設ける事例や、リノベーション費用の補助金を活用して魅力ある物件に生まれ変わらせる取り組みが進んでいます。また、学生や単身赴任者、二地域居住を希望する都市部の夫婦など、多様な入居ニーズに応じた募集条件を設定できるのも賃貸の強みです。管理は自主管理のほか、地元の不動産会社へ委託することで、遠方オーナーでも定期的な巡回やクレーム対応を任せられます。これにより空き家問題の一端を担いながら、オーナー自身も安心して賃貸経営をスタートできるでしょう。

実家を賃貸に出す具体的なメリット

毎月の家賃収入で安定した収益を得る

実家を賃貸に出すことで、毎月一定の家賃収入(インカムゲイン)を確保できます。定期的な収入源が増えることで、老後の生活費や教育費、介護費用などの資金計画を安定させやすくなります。賃貸経営においては、賃料査定を適正に行い、賃貸保証会社を利用することで家賃滞納リスクを抑制し、キャッシュフローを安定させることが可能です。

空き家の維持費や管理の手間を軽減できる

空き家のまま放置すると、固定資産税や都市計画税、庭の手入れや定期的な換気など維持管理コストがかさみがちです。賃貸に出せば、入居者の日常的な清掃や換気、簡易的な設備点検を行ってもらえるため、遠方からの管理負担を大幅に軽減できます。また、管理会社に委託すれば、クレーム対応や修繕手配といった業務を一任でき、オーナー自身の労力を抑えることができます。

固定資産税などの節税効果も期待できる

賃貸用不動産は、居住用のマイホームよりも評価額が下がる場合が多く、課税標準額が低減する傾向にあります。そのため、固定資産税や都市計画税の負担が軽くなる可能性があります。さらに、賃貸経営にかかる必要経費(管理委託料、修繕費、減価償却費など)を損益計算に組み込むことで、所得税・住民税の節税対策にもつながります。

実家の資産価値を維持向上させる

長期間空き家のままだと建物の劣化が進み、結果として資産価値が下がってしまいます。賃貸に出すことで、定期的なメンテナンスやリフォームを行いやすくなり、入居者ニーズに合わせた設備更新で競争力を維持できます。また、不動産をポートフォリオの一部として運用することで、リスク分散を図りながら資産形成を行うことが可能です。

実家を賃貸に出すデメリットと注意点

空室リスクや家賃滞納のリスク

地域の需要に合わない場合、入居者がなかなか見つからず長期の空室期間が発生します。空室期間中も固定資産税や光熱費、管理会社への最低手数料は発生するため、収支が赤字になる可能性があります。また、入居者が家賃を滞納した場合、法的手続きや保証会社への請求対応が必要となり、手間と時間がかかる点も注意が必要です。

修繕費やリフォーム費用が発生する可能性

古い実家は建物の経年劣化が進んでおり、入居前にクロス張り替えや設備交換などのリフォームが必要になることが多いです。さらに、入居者の退去時には原状回復費用がかさむケースもあり、想定以上の修繕費が発生するリスクを見込んでおく必要があります。大規模な耐震補強や給排水管の更新が必要になると、数十万円から百万円単位のコストがかかる場合もあります。

入居者とのトラブルやクレーム対応

入居者からの騒音、敷地内のゴミ問題、近隣住民とのトラブルなど、さまざまなクレームが寄せられることがあります。特に相続で遠方に住んでいる場合は、急なクレーム対応が難しく、管理会社への依頼費用が増える恐れがあります。契約時にルールを明確に定め、定期的な巡回やコミュニケーションを怠らないことがトラブル防止のポイントです。

賃貸管理の手間や不動産会社への委託費用

募集広告の作成、内見対応、契約書類の作成、家賃回収、入居者対応など、賃貸経営には多岐にわたる業務が発生します。これらを自主管理する場合は時間と労力を要し、管理会社に委託する場合は家賃の5~10%程度が管理委託料としてかかります。特に相続手続きや税務申告などと並行する場合、管理会社選びと委託範囲の検討は重要です。

賃貸に出すと売却が難しくなる場合も

入居者がいる状態では、買主が賃貸借契約を引き継ぐことが基本となり、内見や契約条件の交渉が制限されます。将来売却を視野に入れている場合、空室にして売り出したほうが広い購買層にアピールでき、価格交渉も有利になるケースがあります。賃貸か売却かの判断は、税制面や市場動向、相続税対策などを総合的に検討して決めましょう。

実家を賃貸に出す前に確認すべきこと

実家の状態とリフォームの必要性

まずは築年数や躯体の劣化状況を把握しましょう。屋根の雨漏りや外壁ひび割れ、シロアリ被害の有無、水道・電気配線の老朽化などをチェックし、必要に応じてホームインスペクション(既存住宅状況調査)を専門業者に依頼することをおすすめします。

インスペクションの結果、耐震基準適合証明書の取得や給排水管の更新工事、外壁塗装・屋根塗装といったリフォームが必要となるケースがあります。これらは入居者募集を有利に進めるだけでなく、固定資産税の軽減措置を受けるためにも重要です。

住宅ローンや相続に関する確認

実家に住宅ローンの残債がある場合、賃貸経営を始める前に借入先の銀行(三菱UFJ銀行、みずほ銀行など)へ相談し、賃貸利用に関する制限や繰り上げ返済の手続きについて確認しましょう。

相続が関わるケースでは、まず法務局での相続登記を完了させ、登記事項証明書を取得する必要があります。相続税の基礎控除額や路線価をもとに税額を試算し、必要があれば税理士への依頼や暦年贈与の活用を検討してください。

賃貸収入は「不動産所得」として課税対象となります。青色申告承認申請を行い、減価償却費や必要経費を適切に計上することで節税効果を高めつつ、確定申告の準備を進めましょう。

賃貸経営の知識と覚悟

家賃設定は周辺の賃料相場(REINS、at home、SUUMOなど)を参考に行い、募集条件や礼金・敷金、更新料の有無を明確に決めます。あまりに高額設定すると空室リスクが増すため、現実的な水準を探ることが大切です。

管理方法は自主管理と管理委託に大別されます。自主管理は手数料を抑えられる一方で、クレーム対応や定期巡回、賃料回収などの手間がかかります。大東建託、レオパレス21、東急リバブルなどの不動産会社に委託する場合は委託費用とサービス内容を比較検討しましょう。

入居者トラブルを想定し、家賃保証会社(日本セーフティ、全保連など)への加入や原状回復のルール策定、退去時のクリーニング費用負担範囲を契約書に明記することが安心です。

長期的には空室時の固定資産税・都市計画税、修繕積立金、火災保険料など維持コストを見込んだ資金計画が必要です。空き家対策特別措置法や地域の空き家バンクなどを活用し、地域活性化に寄与する視点も持って賃貸経営に臨みましょう。

実家を賃貸に出す際の流れと費用

空き家となった実家を賃貸物件として運用するには、事前の準備から入居後の管理まで一連のステップを把握し、必要な費用を見積もることが重要です。ここでは、信頼できる不動産会社選びから契約締結、管理方法、税金までの流れと相場感を解説します。

信頼できる不動産会社選び

まずは地域の賃貸市場に詳しい不動産会社を複数社ピックアップします。地元密着型や空き家賃貸実績のある会社を選び、実際に担当者と面談して対応力をチェックしましょう。仲介手数料は家賃1ヶ月分(消費税込)が相場です。管理委託を依頼する場合は、家賃の5~10%程度が管理料の目安となります。

賃料査定と募集条件の決定

不動産会社に物件調査を依頼し、周辺相場や築年数、間取り、設備状況をもとに賃料査定を行います。査定にはレインズや過去の成約事例を活用します。敷金・礼金、契約期間、更新料の有無など募集条件をオーナーと相談して決定し、募集図面やインターネット掲載の原稿を作成します。

賃貸借契約の締結と入居者募集

募集が開始されたら内覧対応や申込書の受領、入居審査(収入証明・身元確認)を進めます。保証会社利用の場合は保証料(家賃の50~100%)が別途かかります。審査通過後、重要事項説明を実施し、賃貸借契約書を締結。敷金・礼金、前家賃を受領して鍵を引き渡します。仲介手数料の支払いは契約締結後が一般的です。

入居後の管理業務と費用

入居後は家賃回収やクレーム対応、定期点検、原状回復工事手配などの管理業務が発生します。自主管理と管理委託では必要な手間とコストが異なるため、オーナー自身の負担可能範囲を考慮して選びましょう。

自主管理と管理委託

自主管理を選ぶと管理会社への委託料が不要ですが、入居者対応や定期清掃、トラブル対応すべてを自分で行う必要があります。一方、管理委託すれば家賃送金や設備トラブル対応、クレーム処理を代行してくれます。管理委託料は家賃の5~10%が相場です。

賃貸経営にかかる税金の種類

賃貸収入には以下のような税金がかかります。
・所得税・住民税:家賃収入から必要経費(管理料、修繕費、減価償却費など)を差し引いた額に課税
・固定資産税・都市計画税:所有する実家の固定資産税評価額に基づき年額で納付
青色申告を行うと最大65万円の控除が受けられるため、確定申告の準備と帳簿付けを忘れずに行いましょう。

空き家になった実家を賃貸に出す際のよくある疑問

大規模なリフォームは必要か

賃貸に出す際に必ずしも大規模なリフォームが必要というわけではありません。まずはクロスの張替えや床のワックスがけ、キッチンやトイレの水回り設備交換など、原状回復の範囲内で進めるのがおすすめです。築年数や劣化状況に応じて、専門のリフォーム業者に現地調査を依頼し、必要最低限の修繕箇所を見極めましょう。過度な投資を避け、費用対効果の高い部分的リフォームで入居者のニーズを満たす工夫がポイントです。

賃貸と売却どちらが良いのか

実家を手放す方法として賃貸経営と売却にはそれぞれメリット・デメリットがあります。売却はまとまった資金を早期に得られ、相続税や固定資産税の負担から解放されますが、将来にわたる家賃収入を失うリスクがあります。一方で賃貸は長期的な家賃収入を得られるものの、空室リスク・家賃滞納リスクや修繕負担、管理コストなどがかかります。譲渡所得税と不動産所得税の違いや、ご家庭の資金計画・相続対策を踏まえたうえで、税理士や不動産コンサルタントへの相談を検討してください。

遠方に住んでいても管理できるか

遠方からの賃貸管理は「管理委託」が一般的です。入居者募集、家賃回収、クレーム対応、定期巡回などを不動産管理会社に任せることでオーナーの負担を大幅に軽減できます。管理手数料は家賃の3~10%が相場です。会社選びでは対応エリアやサービス内容、入居率の実績、修繕対応スピードなどを比較しましょう。また、スマートロックやIoT監視カメラの導入、オンライン契約システムを活用すれば、遠方でもスムーズな運用が可能です。

まとめ

実家を賃貸に出すことで毎月家賃収入が得られ、維持費や固定資産税を軽減できます。空室や滞納、修繕費、入居者トラブルには対策が必要です。ローンや相続問題は事前に確認し、遠方管理は信頼できる不動産会社選びと自主管理・委託の検討で、資産価値を維持しながら安定経営を実現しましょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。