通院介助とは?内容や適用条件、注意点などを解説
2025/07/19

本記事では、通院介助の定義や目的から、利用条件(介護保険や障害者総合支援法)、サービス内容、費用の目安、利用手順、注意点、介護タクシー等との違いまで幅広く解説します。訪問介護での身体・生活援助やケアマネジャーへの相談方法、契約から当日の流れ、交通費・実費の負担額、利用時間・回数の制限、事業所の選び方も含め、最適な通院介助の選び方が分かります。
目 次
通院介助とは
通院介助の定義と目的
通院介助とは、要介護者や要支援者、障害をお持ちの方などが病院・診療所・クリニックなどの医療機関へ受診する際に、居宅での身体介護や生活援助を組み合わせて移動をサポートする訪問介護サービスの一項目です。ケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、利用者の身体状況や自立支援の観点を踏まえながら、安全かつ快適に通院できる環境を整えます。
主な目的は、受診に伴う転倒や転落のリスクを軽減し、健康管理や早期治療につなげることです。また、自宅での生活動作能力を維持・向上させ、家族の介護負担を抑えるとともに、医療機関との連携を円滑にすることで継続的な療養支援を行います。
通院介助が必要とされるケース
以下のような状況で通院介助が必要とされます。
・高齢者で歩行や公共交通機関の利用が困難な場合 ・脳卒中後や骨折後のリハビリ中で長距離移動に不安がある場合 ・認知症により道順が分からない、あるいは待合室での手続きを一人で行えない場合 ・障害者総合支援法に基づく障害者手帳をお持ちで、通院時の付き添い支援が必要な場合 ・家族の都合や遠方在住により付き添いが難しく、訪問介護による外出支援を利用したい場合
これらのケースでは、利用者の残存能力や症状進行度を考慮しながら、身体介護(歩行介助、車いす操作、移乗介助など)と生活援助(通院に伴う買い物代行や診察券の管理など)を組み合わせ、安心して通院できる利用環境を構築します。
通院介助の具体的な内容
訪問介護における通院介助
身体介護としての通院介助
通院介助の身体介護では、利用者が安全に移動できるよう専門的なサポートを行います。歩行が不安定な場合や車いすを使用する方に対し、転倒予防や姿勢保持を重視した介助が求められます。
主な身体介護の内容:
- ベッドから車いす、車いすから車両への移乗介助
- 歩行器や杖を用いた歩行補助
- 車内での姿勢保持やシートベルトの装着サポート
- 長時間の乗車時における体位変換やクッション配置
生活援助としての通院介助
生活援助では、利用者が通院前後に必要とする準備や環境整備を行います。医療機関での手続きや待ち時間の管理まで、きめ細かな支援が可能です。
主な生活援助の内容:
- 通院に必要な書類や診察券の準備・管理
- 服薬管理(服薬の声かけや薬の受け取り代行)
- 受診後の買い物代行や帰宅後の簡単な調理・後片付け
- 医療機関での受付手続きや会計支援、次回予約の確認
通院介助でできることとできないこと
通院介助はあくまで日常生活上のサポートであり、医療行為や専門的な判断が必要な業務は実施できません。
- できること:歩行・移乗の補助、車いす操作、書類管理、医療機関内での付き添い、服薬サポート
- できないこと:点滴や注射など医師・看護師のみが行える医療行為、診断や処置の判断、法的書類への署名代行
もし医療行為が必要な場合は、別途訪問看護や医療機関との連携を検討しましょう。
通院介助の担当者
通院介助は、訪問介護事業所に所属する介護職員(ホームヘルパー)が担当します。介護福祉士や実務者研修修了者など、介護保険法で定められた資格・研修を受けたスタッフが対応します。
担当者選びのポイント:
- 資格・研修の有無(介護福祉士、実務者研修)
- 通院介助の経験や対応実績
- 緊急時の連絡体制や医療機関との連携方法
通院介助を利用できる人や条件
介護保険サービスを利用する場合
介護保険制度における通院介助は、市区町村が認定する要支援1~要介護5の認定を受けている方が対象です。認定を受けた後、ケアマネジャーが作成するケアプランに「通院等乗降介助」のサービスが組み込まれることで利用できます。
利用にあたっては、介護保険被保険者証と要介護認定書が必要です。また、サービス提供事業所との契約締結後、訪問介護員(ホームヘルパー)が居宅を訪問し、通院先までの移動補助や院内での付き添いを行います。
障害者総合支援法を利用する場合
障害者総合支援法では、移動支援サービスの一環として通院介助が提供されます。身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受け、障害支援区分の認定を得た後、市区町村に「障害福祉サービス受給者証」を申請します。
受給者証が交付されると、移動支援の支給量に応じて通院介助が利用可能です。サービス内容には、公共交通機関の乗降介助や自家用車での送迎、歩行補助などが含まれ、同行範囲は居宅から医療機関までとなります。
介護保険外サービスを利用する場合
介護保険や障害者総合支援法の適用外となる方でも、民間の訪問介護事業者や福祉タクシー事業者による有料の通院介助を利用できます。完全自費負担のため、利用条件や料金設定は事業者ごとに異なります。
一般的には、1時間あたりの時間制料金や移動距離に応じた運賃が設定されており、事前に見積もりを受けて契約を締結します。利用者の要望に応じて、付き添い時間や歩行介助の有無などを柔軟に調整できます。
通院介助の利用方法と流れ
ケアマネジャーへの相談とケアプラン作成
まずは居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)に通院介助の希望を相談します。持病や障害の状況、通院先の医療機関と通院頻度、移動手段の希望などを具体的に伝え、利用者本人と家族の意向を反映したケアプランを作成してもらいます。ケアプランにはサービス内容や回数、介助内容の区分、自己負担額の目安が明記され、介護保険や障害者総合支援法の適用条件も確認します。
サービス提供事業所の選定と契約
ケアプランをもとに通院介助を提供する訪問介護事業所または障害福祉サービス事業所を選びます。選定ポイントは対応エリア、スタッフの経験、利用者の口コミ、各種保険適用の可否です。候補の事業所には見積書やサービス内容一覧を請求し、契約書にサービス開始日、料金体系、キャンセルポリシー、緊急連絡先などを明記したうえで利用契約を締結します。
通院介助サービスの開始
契約後、事業所担当者との顔合わせを行い、当日の集合場所やスケジュール、持ち物、服薬管理の方法などを最終確認します。当日の通院では、スタッフが利用者宅で介護用具や手すりの設置状況を点検し、安全な移動環境を整えたうえで車椅子や歩行器を使用して移動をサポートします。医療機関内では受付手続きの補助や診察室への案内、待合スペースでの見守りも行います。
帰宅時は再度車椅子や歩行器の操作を補助し、移動経路に危険箇所がないか確認しながら自宅まで同行します。サービス終了後にはスタッフから通院中の様子や体調変化、課題点を報告書で受け取り、次回以降のケアプランの見直しや改善に活かします。
通院介助にかかる費用
介護保険適用の場合の自己負担額
通院介助を介護保険サービス(訪問介護)の身体介護として利用する場合、利用者はサービス費用の自己負担分を支払います。自己負担割合は所得区分に応じて1割・2割・3割のいずれかとなり、サービス提供にかかる「単位数」に1単位あたりの単価(おおむね10円前後)を掛け合わせて算出します。たとえば身体介護20分未満(約233単位)を1割負担で利用した場合、約233円程度が自己負担額の目安です。なお、夜間・早朝や土日祝日の加算、地域区分加算などにより額は変動しますので、ケアマネジャーや事業所に確認しましょう。
介護保険適用外の場合の費用
介護保険を利用せずに通院介助を手配する場合、民間の有料サービスやボランティア等が提供する有償運送サービスを利用します。料金体系は事業者ごとに異なりますが、多くの場合、介助スタッフの人件費や移動時間を含めた「時間単価制」で、1時間あたり2,000円~3,500円程度が相場です。一回あたりの最低利用時間が2時間以上と定められている場合もあり、待機時間や準備時間に対して別途料金が発生することがあります。契約前にサービス内容と料金体系を詳細に確認してください。
交通費やその他の実費について
通院介助では、サービス料金のほかに実費精算が必要となるケースが多くあります。主な実費項目は以下のとおりです。
- 公共交通機関利用時の運賃(電車・バス等)
- タクシー利用時の乗車料金および深夜・早朝・休日割増料金
- 自家用車使用時のガソリン代・高速道路料金・駐車場料金(事業所ごとに基準単価を設定)
- 遠方通院で宿泊を伴う場合の宿泊費・食費
実費は領収書の提出のうえ精算するのが一般的です。事前に利用事業所と精算方法や上限額を取り決め、想定外の負担が発生しないよう確認しておきましょう。
通院介助を利用する際の注意点
通院介助の利用時間や回数の制限
通院介助は介護保険や障害者総合支援法のサービスとして提供されるため、1回あたりのサービス提供時間や1ヶ月当たりの利用回数には上限があります。まずケアプランやサービス計画書に定められた訪問時間(たとえば20分から2時間程度)を超えないようにしましょう。利用回数についても、訪問介護の枠を超えるとケアマネジャーとの相談が必要になります。
特に介護保険の場合、要介護度に応じた上限時間を超える援助は原則として認められず、超過分は自費負担となることがあります。障害者総合支援法でも同様に、サービス事業所ごとに利用制限が設けられているため、事前に自治体や事業所に確認し、利用時間・回数のスケジュールを明確にしておくことが重要です。
介助範囲と責任の所在を確認する
通院介助には「身体介護型」と「生活援助型」があり、どの範囲までスタッフが介助できるかは契約時のサービス内容によって異なります。たとえば車いすへの移乗や歩行補助、服薬介助は身体介護に含まれますが、診察室での医療行為(血圧測定以外の医療処置)は医療行為ではないため行えません。
また、事故やトラブルが発生した際の責任の所在も事前に確認しておく必要があります。事業所が加入する損害賠償保険の補償範囲や、自宅から医療機関への移動中に生じた転倒などのリスク管理について、契約書やサービス約款に明記されているかをチェックしましょう。
事前に準備しておくべきこと
通院当日は診察券、健康保険証、医療受給者証、最近の検査結果やお薬手帳などを忘れずに用意してください。介護保険サービスを利用する場合は、ケアマネジャーが作成したケアプランの写しを、障害者支援サービスの場合は障害者手帳や支給決定通知書を事業所に提示しましょう。
さらに、当日の体調確認や服薬状況の情報共有も欠かせません。発熱や嘔吐、血糖値の変動などがあるときはあらかじめ事業所に連絡し、必要に応じて受診スケジュールの調整を行うことで、スムーズかつ安全な通院介助が実現します。
通院介助と混同しやすいサービスとの違い
介護タクシーとの違い
介護タクシーは道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業で、車両にリフトやスロープを備え、車いすのまま乗降できる点が特徴です。ドライバーが乗降や車内での固定まで対応する場合もありますが、あくまで「輸送」を主目的としています。
一方、通院介助は訪問介護事業者や障害福祉サービス事業者が提供する介護保険や障害者総合支援法のサービスであり、利用者の自宅から病院・診療所までの移動だけでなく、出発前の体調確認、服薬管理、院内での受け渡し・誘導、帰宅後の安否確認や着替えの手伝いなど、総合的な身体介護・生活援助を一連の流れとして行います。交通費やタクシー料金は別途請求される一方、介護タクシーでは運賃自体にすべての支援が含まれることが多い点で異なります。
外出支援サービスとの違い
外出支援サービスは市区町村の福祉事業や民間のNPOが提供し、買い物やレクリエーション、イベント参加など幅広い外出機会をサポートする点が特徴です。グループでの参加を想定することが多く、安否確認や社交の促進、暮らし支援を重視します。
対して通院介助は「通院」という明確な目的をもつサービスで、医療機関での受診や治療に特化した支援です。利用目的が病院訪問に絞られるため、外出支援のような買い物代行や観光案内などは含まれず、医療行為への理解や緊急対応(受診中の体調急変時の連絡など)を求められる点が大きく異なります。
付き添いサービスとの違い
付き添いサービスは、シルバー人材センターや民間の介護付旅行会社、地域ボランティア団体などが提供し、医療機関以外にも銀行や役所、冠婚葬祭などさまざまな行き先で利用できます。介助内容は「同行・見守り」が中心で、移乗や移動の補助範囲は事業者によってまちまちです。
通院介助では、訪問介護員(ホームヘルパー)や障害福祉サービス従事者が介護保険・障害者総合支援法に則った研修や資格を持ち、身体介護(着替え、移乗、排泄補助など)と生活援助(服薬管理、荷物の受け渡しなど)を組み合わせて行います。そのため、単なる「同行」よりも専門性が高く、介護サービス計画(ケアプラン)に基づく支援である点が大きな違いです。
まとめ
通院介助は要介護認定や障害者総合支援法を活用でき、申請からケアプラン作成、契約、サービス開始までを把握しスムーズに利用可能です。自己負担額や時間制限を事前確認し、介護タクシーや外出支援との違いを理解して適切に活用しましょう。また、交通費や実費負担、介助範囲の責任所在も必ず確認し、安全で快適な通院を実現しましょう。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
