移動葬儀車とは?使い方などを紹介
2025/05/27

c移動葬儀車は、故人を乗せた車内で通夜や告別式を行うことで葬儀場手配の手間を省き、柔軟な日程調整や費用削減を実現する新しい葬儀スタイルです。故人や遺族の希望に合わせた演出が可能で、火葬場への搬送支援も含まれます。記事では登場背景、メリット・デメリット、従来葬儀や自宅葬との違い、具体的な利用の流れ、注意点を詳しく解説し、費用比較や式場選びのポイントも紹介、遺族の負担軽減につながる選択肢を提案します。
目 次
移動葬儀車とは
移動葬儀車(いどうそうぎしゃ)とは、霊柩車や大型バンを改装し、車内に祭壇や安置スペース、参列者用の椅子・テーブル、照明・音響設備を備えた移動式の葬儀会場です。従来の葬儀場や自宅葬に代わり、火葬場の近くや故人ゆかりの場所、あるいは遺族宅前など、任意の場所で通夜・告別式を実施できるのが大きな特徴です。家族葬や小規模葬儀、社葬まで対応可能で、バリアフリー設計や衛生管理基準を満たしながら、式場設営や納棺、遺体搬送といった一連のサービスを一台でまかないます。
移動葬儀車が登場した背景
日本では少子高齢化の進行や過疎化により、従来型の葬儀場(斎場・ホール)の数が不足した地域が増加しました。また、葬儀費用の高騰や冠婚葬祭への支出抑制から、参列者を限定した家族葬・自宅葬を希望する遺族が急増。こうしたニーズを受け、葬儀社が移動式の設備を車両に搭載し、柔軟に運用できる移動葬儀車を開発・導入する動きが広がりました。
さらに近年は、新型コロナウイルス感染症対策として三密を回避し、少人数で安全に式を行える空間としても注目を集めています。火葬場までの搬送回数を減らせる点や、地方都市での交通アクセスの悪さを補う点も、移動葬儀車普及の背景にあります。
移動葬儀車のメリット・デメリット
移動葬儀車のメリット
費用を抑えられる場合がある
移動葬儀車(セレモニーカー)は専用のホールや斎場を借りる必要がなく、葬儀場使用料や大規模な式場装花費用を削減できます。また、設備一体型の車両を活用することで葬儀プラン全体のコストが明確になり、オプション料金も含めたトータル見積もりが取りやすいのが特徴です。
故人の希望を叶えやすい
移動葬儀車は自宅前や思い出の場所、公園など希望のロケーションで式を執り行えます。会葬者数や祭壇のデザイン、BGMの選択などを柔軟にカスタマイズできるため、故人の趣味や生前の想いを反映した個別対応の葬儀が可能です。
時間を有効活用できる
移動葬儀車では通夜から告別式までを同一車両で実施できるため、参列者の移動時間や待ち時間が短縮されます。霊柩車やマイクロバスを別手配する手間がなく、式の進行をスムーズに行えるため、プログラム全体の所要時間をコンパクトにまとめることができます。
移動葬儀車のデメリット
安置施設が必要となる
移動葬儀車には簡易的な安置スペースがあるものの、長期間のご安置にはご自宅や民間の安置施設を別途手配する必要があります。専用冷蔵庫やクーラー完備の葬祭ホールに比べ、温度管理や衛生面で専門的な設備が不足しがちです。
火葬場までの搬送が必要
移動葬儀車で通夜・告別式を行った後、火葬場へ遺体や参列者を移動させる手配が必要です。公共交通機関が使いにくい場所では霊柩車やマイクロバスを別途用意し、日程調整や追加費用が発生するケースがあります。
サービス内容が限られる場合がある
移動葬儀車は車内スペースに制約があるため、大規模な祭壇や豊富な供花、音響・映像設備の導入が難しい場合があります。特に宗教儀礼や地域風習に沿った特殊な演出を希望する際は、従来の葬儀場のほうが対応範囲が広いことがあります。
移動葬儀車と従来の葬儀の違い
葬儀場で行う葬儀との違い
従来の葬儀場(セレモニーホールや斎場)では、専用の式場や安置室、控室、ロビーといった複数の施設を一箇所に備え、祭壇や音響設備、映像演出など豊富なオプションが利用できます。一方、移動葬儀車は車両内部をコンパクトな式場に改装したもので、専用施設を借りる必要がありません。
葬儀場を利用すると施設使用料・会場設営費・宿泊施設利用料(親族控室など)が発生し、総費用が高額になりがちです。移動葬儀車は車両の出張料金や火葬場までの搬送費用が中心となるため、プランによっては費用を抑えやすい特徴があります。
また、参列者への案内を葬儀場スタッフが一括で手配するのに対し、移動葬儀車では運営会社がドライバー兼スタッフを兼務することが多く、人数やスケジュールの変更に柔軟に対応しやすい点も大きな違いです。
自宅葬との違い
自宅葬は故人宅や親族宅に祭壇を設営し、家族や近親者のみで行う葬儀スタイルですが、安置場所の確保や後片付け、近隣への配慮(駐車場スペースや騒音対策など)が必要です。移動葬儀車はこれらの手間を軽減できるうえ、自宅に戻ることなく車両内で安置から通夜・告別式まで一貫して行えます。
自宅葬では祭壇装飾や仏壇の準備、厨房設備の手配など細かな手続きを遺族が担うケースが多いですが、移動葬儀車は車内に必要最小限の祭壇セットや線香・献花台が組み込まれており、遺族の負担を大幅に軽減します。
さらに、自宅葬では近隣住民への説明や清掃対応が発生しますが、移動葬儀車であれば近隣への影響を最小限に抑え、式後の後始末も運営会社が担当するため、遺族は葬儀後の手続きに専念できます。
移動葬儀車を利用した葬儀の流れ
搬送
ご逝去後、まずは葬儀社へ連絡し、死亡届の提出や火葬許可証の申請手続きを進めます。搬送当日は寝台車で病院またはご自宅から移動葬儀車へ遺体を移し替え、車内に備えた冷却装置やドライアイスでご遺体を安置します。棺や仏衣のご用意はもちろん、枕飾りや遺影写真の設置、線香・ロウソクなどの仏具もこの段階で整え、遺族立ち会いのもとで安置状況を最終確認します。
通夜・告別式
通夜当日は移動葬儀車の後部または隣接テント内に祭壇を設営し、生花や焼香台、仏具を配置します。司式者(僧侶や神職)による読経のあと、参列者は焼香や献花を行い、故人への弔意を表します。通夜振る舞いとして軽飲食を提供するケースもあり、故人を偲ぶ会食の場としても活用可能です。翌日の告別式では弔辞や弔歌、思い出映像の上映、BGM演出を通じて最後のお別れを行い、出棺の準備として花祭壇の装飾を整えます。
火葬
告別式終了後、移動葬儀車で火葬場へと向かいます。火葬許可証を火葬場窓口に提出し、遺体を火葬炉前へ搬入します。移動葬儀車は待合スペースとしても利用でき、遺族は炉前での最終確認や収骨具の準備を行います。火葬後には遺骨を箸で骨壷に納める骨上げを実施し、そのまま僧侶による読経・法要を希望に応じて行うことも可能です。最後に役所への埋葬届出などの手続きをサポートし、すべての儀式を終えます。
移動葬儀車を利用する際の注意点
移動葬儀車は利便性が高い反面、事前の準備や確認を怠ると当日トラブルにつながる可能性があります。以下のポイントを押さえ、安心してご利用ください。
法的・許可関連の注意点
自治体の規制と許可取得
移動葬儀車を運営するには、厚生労働省のガイドラインに基づく「葬祭業」の許可が必要です。各自治体によっては独自の要件や申請書類が設けられているため、事前に営業許可の取得状況を確認しましょう。免許証番号や許可証のコピーを見せてもらうことで運営会社の信頼性を判断できます。
道路使用および駐車許可
大型車両を公共の道路や敷地内に駐車する場合、警察署への道路使用許可や市区町村への駐車許可が必要になるケースがあります。特に住宅街や商業施設周辺では駐車違反や近隣からの苦情が発生しやすいため、事前に管轄の警察署や自治体窓口へ問い合わせ、正式な承認を得たうえで場所を決定してください。
会場設営・周辺環境の注意点
駐車スペースの確保
移動葬儀車は全長約7~10m、幅2.5m程度と大型のため、平坦で十分な幅員のあるスペースが必要です。傾斜地や狭い路地では車両が入れず設営自体が難航する恐れがあります。事前に会場となる場所を訪問し、車両が安全に出入りできるかを確認しましょう。
騒音や近隣への配慮
セレモニー中にスピーカーやマイクを使用する場合、近隣住民から苦情が寄せられることがあります。音量調節や使用時間の制限をあらかじめ確認し、必要に応じて入念なご挨拶回りやチラシ配布を行うとトラブルを回避できます。
サービス内容と料金プランの注意点
基本プランに含まれる内容の確認
各社が提供する基本プランの内容は葬儀車の車内装飾、遺体安置施設のレンタル、スタッフ人数などで異なります。会食サービスや生花、祭壇設営の有無も業者によってまちまちです。見積もりを取る際は「何が含まれているか」を細かくチェックし、明細書のない口頭説明だけで判断しないようにしましょう。
オプション追加費用と合計費用
遺体搬送の距離加算、深夜・早朝の追加料金、スタッフの宿泊費用、火葬場への繰り出し運行費など、オプション項目が多数存在します。事前に追加費用の発生条件と金額をすべて書面で提示してもらい、予算と照らし合わせておくことで、当日の思わぬ出費を防げます。
運行スケジュール・天候対応の注意点
天候不良時の代替プラン
雨天や強風などの悪天候時には、車外での祭壇設営や参列者の出入りが困難になる場合があります。テントや簡易屋根の追加手配、または屋内施設への切り替えが可能かどうかの確認を事前に行い、代替プランをあらゆるケースで用意しておきましょう。
交通状況による到着遅延リスク
移動拘束時間が長い葬儀車は、高速道路の渋滞や都市部での道路規制の影響を受けやすいものです。出発時刻に余裕を持ったスケジュールを組み、万一の遅延に備えて火葬場や宗教者、遺族へ事前連絡の上、タイムテーブルを共有しておくことが重要です。
遺体安置・衛生管理の注意点
適切な温度・湿度管理
車内の安置スペースは冷蔵設備を備えていますが、外気温の急激な変化や長時間の移動では制御が難しくなる場合があります。気温が高い季節や夏場は特に冷蔵能力の確認を行い、必要ならば補助的な保冷材やバキュームマットを準備しましょう。
衛生状態の維持と消毒
葬儀車は室内で参列者が出入りするため、事前後の消毒作業や使い捨て手袋、マスクの装備が欠かせません。運営会社が衛生管理マニュアルに沿った清掃・消毒を実施しているか、使用する備品の交換頻度や方法を確認しておくと安心です。
まとめ
移動葬儀車は、費用削減や故人の希望を叶えやすい手軽さが魅力ですが、安置場確保や火葬場搬送など計画と準備が必須です。サービス内容や法令遵守も事前確認し、従来葬や自宅葬と比較検討のうえ、ご遺族の負担を軽減できる最適な選択をしましょう。通夜・告別式から火葬まで一貫して対応できる点も特徴です。地域の慣習や供花、供物の手配方法なども事前に確認し、故人と遺族双方の負担を抑えつつ、心に残る葬儀を実現しましょう。
記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。
