エンディングノートとは?記載する内容や作成後の注意点について

2022/07/28

「終活」の一環として広まりつつある「エンディングノート」をご存知でしょうか。エンディングノートとは、もしもの時に備えて家族や身近な人へ向けたメッセージを記すノートのことを指します。

高齢化社会が進む中で、「後に遺される家族のため」「これからの人生を見つめ直すきっかけとして」など、さまざまな理由で「終活」を始める方も多いかと思います。死後の準備についてネガティブなイメージを抱く方もいるかも知れませんが、人生の最期について考えることは、今をどう生きるかを考えることにも繋がります。

終活の第一歩として、まずはエンディングノートの作成から初めてみてはいかがでしょうか。

この記事では、書き方から作成後の注意点まで、エンディングノートについて詳しくご紹介していきます。

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、もしもの時に備えて家族や身近な人へ向けたメッセージを記すノートのことです。明確な決まりやフォーマットはありませんが、自身の情報や資産状況に加え、葬儀や供養に関することなど自分の想いや希望を記すのが一般的です。

エンディングノートの最も重要な目的は、遺された家族や身近な方が行う各種手続きを円滑にし、負担をできるだけ軽くすることと言えます。

遺言書の作成はまだ早いと感じている方や、まずは自分の想いを整理したいという方にもおすすめです。エンディングノートを作成しておけば、後々遺言書を作成する際にもスムーズです。

使用するノートは手持ちのものでも構いません。デザインの好みや使いやすいのを選ぶと良いでしょう。最近では専用のノートが売られていたり、自治体で無料配布されているケースもあります。

遺言書とエンディングノートの違いについて

エンディングノートは、遺言書のように「法的効力」を持つものではありません。「誰にどの財産を遺すか」というような相続に関する事項については、別途正式な遺言書を作成する必要があるので注意しましょう。

エンディングノートには何を記載する?

前述の通り、エンディングノートを書く上での明確な決まりやフォーマットは存在しませんが、ここでは「これだけは記しておきたい基本的な項目」をご紹介していきます。

もしもの時の連絡先

まず初めに、入院時や自身が亡くなった際に、連絡して欲しい方の名前、連絡先、住所などの情報を記しておきましょう。自身との関係性なども合わせて記しておくと良いでしょう。

財産についての情報

自身の財産についても詳しく書き出しておきましょう。具体的には以下のようなものがあります。

・預貯金

・クレジットカード情報

・株式・国債・投資信託などの金融資産について

・不動産

・保険(生命保険、火災・家財保険など)

・貸金庫

上記以外にも、金や宝石、車、高価な絵画や家具などを所有している場合は記載しておきましょう。譲りたい先などがある場合は合わせて記しておきます。

また、所有しているデジタル機器や契約、解約に必要なIDやパスワードなどを一覧にまとめておくと、遺された方が行う各種手続きがよりスムーズです。

遺言書について

すでに遺言書を作成している場合は、遺言書の方式、保管場所、遺言執行者など、遺言書についての詳細も明記しておきましょう。

希望の供養(葬儀・お墓)について

葬儀やお墓について、希望がある場合は詳しく記しておきましょう。

葬儀については、喪主、宗教・宗派、葬儀会社(生前予約している場合はその情報)、費用について、規模(通夜・告別式の有無、一般葬儀、家族葬、直葬など)、戒名・法名、遺影の写真についてなど。

お墓については、菩提寺の有無やその情報、希望の埋葬方法や予算などが挙げられます。供養に関して、特に希望やこだわりがない方は、家族や親族などに一任する旨を記しておくと良いでしょう。

エンディングノートは誰に託す? 作成後の保管方法について

エンディングノートは、作成し終えたあと「誰に託すか」というのが最も重要なポイントと言えます。一生懸命に作成したエンディングノートも、遺されたご家族や信頼できる方の手に渡り、しっかりと尊重し、活用してもらえなければ意味がありません。

もしもの時、遺されたご家族や身近な方の負担を少しでも軽くするためにも、適切な保管方法について考える必要があります。自身でノートを保管する場合は、保管場所について、ご家族や信頼できる方に事前にしっかりと共有しておきましょう。

また、エンディングノートを託す方がいない、身内に負担をかけたくない、どこに保管したら良いのかわからない、という方もいるかと思います。その場合は、法人の「身元保証サービス」などを利用するという方法もあります。

「身元保証サービス」とは、民間企業、社団法人、NPO法人などが提供しているものです。サービスの詳しい内容や利用料金は運営元によっても異なりますが、各種保証人の代行を始め、緊急時の対応、日常生活の支援、エンディングノート作成のサポートからお預かりまで、一人暮らしの方が安心して生活を送れるよう、幅広いサポートを行う企業もあります。

まとめ

エンディングノートを作成することで、遺された方々の負担を軽くするのと同時に、自身の価値観や家族への想いなどを整理することができます。エンディングノートの作成を通じてこれまでを振り返り、これからを見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。