独身が生前整理ですべきことは?必要性や種類・方法なども解説
2023/06/02
近年は人生の終わりを見つめながら生前整理を始めとする終活を行う人も増えています。しかし、いざ自分の生前整理となると、具体的に何をしたら良いかわからないかもしれません。
また独身の場合、そもそも生前整理は必要なのかという疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、独身が生前整理を行う必要性とともに、生前整理の種類・方法や注意点などを詳しく解説します。
目 次
独身の生前整理の必要性
生前整理とは、元気な間に自分の身の回りの持ち物や、なくなった後に必要な物事の整理を行っておくことです。近年は自分の人生のゴールを見据えてさまざまな準備を行う「終活」に取り組む人も多く見られますが、生前整理も終活の1つ。
そして生前整理は2人暮らしや単身など、世帯の状況に関わらず多くのメリットが見込めます。また、独身の生前整理には、2人以上で暮らす世帯とはまた異なる必要性も考えられます。独身の場合、何か起きたときに対処するのは基本的に全て自分です。世帯に配偶者や子どもなど、自分以外の人が同居していれば、緊急時に後のことを頼めるかもしれません。しかし、独身はそうしたフォローをすぐしてもらえる人物が身近にいない状態とも考えられます。
親兄弟や親族など、別居する家族に後のことを頼むという手段もありますが、独身者の年齢によっては順番として親はすでにおらず、さまざまな手続きなどを頼めるような親類も数少ないという状況になっている可能性もあります。
つまり、独身は2人以上で暮らす世帯よりも後のことを頼める人の選択肢が狭まるため、自分が元気なうちに生前整理をしておくことがより大きな意味を持つと言えるでしょう。独身の生前整理は何歳頃から始めるべきなどということはありません。
一般的に50代になったあたりから終活を意識する人が増えてくる傾向にありますが、それより早いからと言って良くないということもないのです。早過ぎるとその後ライフスタイルが大きく変化する可能性もありますが、期間に余裕を持って生前整理などを始められれば、その分内容を充実させられます。
何より、生前整理を行うことで、自分の人生について改めて振り返りゆっくり見つめ直す良い機会にもなります。
独身の生前整理の種類と方法
ここからは、独身の人が行える生前整理の主な種類と方法を解説します。
持ち物の整理
生前整理で最も手軽に始められるのは持ち物の整理でしょう。なくなった後に家族が遺品整理などを行うケースもありますが、持ち物の量によっては整理を完了するまで長期間がかかることも珍しくありません。
本人でなければどこに何があるか、またこれは重要なものなのかそうでないのかなどがよくわからないため、必然的に時間がかかってしまうのです。また、人によっては「自分がいなくなった後だとしても、他の人に整理されたくない」という持ち物もあるかもしれません。
このような問題を全て解決できるのが生前整理です。なお、生前整理で不要なものを処分すれば、身の周りが整頓され、すっきりした環境で過ごしていけるので、今後の生活を見越した上でもメリットがあります。
財産の整理
自分が持っている財産をある程度整理することも1つです。例えば家や土地といった不動産を持っている場合、自分がいなくなった後に処分に困らないよう、あらかじめ売却などで整理しておくなどです。
財産を整理することで身軽になるとともに、遺産争いなど相続関係の揉め事を回避できる可能性もあります。
葬儀やお墓の準備
葬儀やお墓の準備も生前整理として行っておくとスムーズです。現在の葬儀はさまざまなスタイルがあります。従来通りに通夜や告別式などを全て行う家もあれば、家族だけで行う家族葬、葬儀をほぼ行わない直葬などシンプルなスタイルを選ぶ家もあります。
しかし、全く何の準備もしておらず、また本人が希望なども残していない場合、家族はどのような葬儀を執り行うべきか悩むかもしれません。また、自分が元気なうちに、自分の満足できる葬儀の形を考えておきたいという人もいるでしょう。
あらかじめ葬儀社などに相談し、自分の望む葬儀の形を踏まえて、可能な段階まで準備しておくと良いでしょう。また、お墓についても事前に準備しておけば、後を頼まれた人の負担が軽くなります。
お墓の準備として考えられるのは、新たなお墓を設置する場合のスペースの確保や墓石の手配などです。こちらはお寺や霊園などお墓を設置する予定の施設などに相談します。
遺言書の作成
自分の生前の意思をはっきり残しておくため、遺言書を作成することも大切です。特に、遺産の分配や使い道などは明確に記しておいた方が良いでしょう。独身で配偶者や子どもがいなくても、他の親族に遺産の相続権が発生する場合はあります。
そのとき、被相続人の意思が明らかでないと、揉め事に発展する可能性が高まります。相続の内容などを明らかに記しておけば、被相続人の希望が尊重され、家族・親族間での相続トラブルが少なく済むかもしれません。
エンディングノートの作成
いくら生前整理を万全にしておいても、自分にもしものことがあった後に必要な全ての手続きを生前に行っておくことは不可能です。ある程度は自分以外の人の手も借りなければいけません。
ただし、その対応をしてくれる人が「こんなときどうすればいいの?」「本人の希望していたことがよくわからない」など迷わないよう、必要な対応や希望することをエンディングノートに書いておくのも良いでしょう。
独身の生前整理を行う際の注意点
それでは最後に、独身の生前整理を行う際、他に気を付けたい点を紹介します。より細かなところまで準備をしておくため、次のようなことも意識してみてください。
ペットを飼育している場合はペットの身の振り方も考える
独身で犬や猫などペットを飼育している人も多いです。生前整理を行うタイミングで、自分にもしものことがあった場合のペットの世話を引き受けてくれる人を探しておくことも大切です。
方法としては家族・親族・友人知人などに代わりに飼ってもらうことが考えられます。また、身近な人にペットの飼育を託せそうにない場合は、世話を継続的に行ってくれる業者と契約しておくことも1つの方法です。
自分1人で難しいことは専門家の手を借りる
生前整理の中には、自分1人で進めるのは難しいこともあるかもしれません。例えば遺言書は正しい書き方があり、せっかく作成しても無効扱いになってしまう場合があります。
弁護士・司法書士・行政書士など、遺言書作成に明るい専門家に依頼すればそのような心配はないでしょう。また、専門家に相談したり疑問を尋ねたりすることで、生前整理に関するより良い方法を見つけられる可能性もあります。外部のプロを上手に活用しながら生前整理を進めることが大切です。
独身の生前整理について具体的なイメージとともに自分がすべきことを考えてみよう
独身で生前整理を行っておくことには、自分にとっても、後を頼まれる人にとってもさまざまなメリットがあります。
また、生前整理を行い身の周りを整頓したり、人生を振り返ったりすることで、今後の生活がしやすくなるとも期待できます。ぜひこの記事を参考に、自分の生前整理について具体的なイメージを持ちながら考えてみてください。

記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。