親戚の身元保証人にはなれる?親戚の身元保証人になる場合の注意点
2022/07/28
入院や施設入所の際などさまざまな場面で必要となる「身元保証人」。
少子高齢化が進み、家族のあり方も多様化する中で、近年一人暮らしのシニアはますます増加傾向にあります。そのような状況に伴い、昨今ではいざという時に「身元保証人を頼む人がいない」とお困りの方も増えています。
ある日突然「身元保証人が必要になった」あるいは「親戚の身元保証人を頼まれたけど、どうすれば良いのかわからない」という方向けに、この記事では身元保証人についての基本知識を初め、身元保証人を頼む人がいない場合の対応策などについてご紹介していきます。
目 次
身元保証人についての基本知識
まず初めに「身元保証人」についての基本知識についてご紹介していきます。
身元保証人とは? どんな時に必要?
身元保証人とは、文字通り「身元を保証する人」のことを指します。
身元保証人が必要とされるタイミングは、雇用契約時、病院への入院時、介護施設への入居時などです。保証人の役割は、いざという時の「損害担保」となります。
例えば、入院・治療費が払えなくなった場合の支払いや、緊急時の対応などが挙げられますが、身元保証人に何を求めるのかは病院や施設によってもその範囲が異なります。
身元保証人を頼む際や引き受ける際は、提示された誓約書の内容をしっかりと確かめましょう。身元保証人の主な役割については、後の項目でも詳しくご紹介しています。
身元保証人と身元引受人の違いについて
「身元保証人」と似た言葉に「身元引受人」がありますが、両者については明確な区別はありません。ただし、身元引受人という言葉は法的に使われる用語ではなく「病院や施設を退所するときに引き受ける責任がある人」という意味で多用されています。
身元保証人と連帯保証人の違いについて
「身元保証人」と「連帯保証人」とでは、その責任の範囲が異なります。
連帯保証人は、被保証人が発生させた損害をすべて賠償しなければならないという義務があります。一方の身元保証人は、被保証人が発生させた損害についてどこまで責任を負うか、その範囲や期限が限定されています。
身元保証人と後見人の違いについて
「後見人」は、病気など何らかの理由で判断能力が不十分な被後見人に適用される制度です。後見人は被後見人の財産管理などを行う権利がありますが、被後見人が亡くなったと同時に後見は終了します。
身元保証人の主な役割について
ここでは、身元保証人の主な役割についてご紹介していきます。ただし、前述の通り身元保証人に求められることは、病院や施設によってもその範囲が異なります。提示された誓約書の内容は、事前にしっかりと確認しておきましょう。
医療処置・介護方針についての判断
身元保証人は、入院・手術前の治療説明を本人と一緒に受けたり、治療方針・介護方針についての相談を受けることがあります。特に本人が十分な判断力がない、又は意思疎通が難しい場合は、身元保証人に医療処置や介護方針についての判断を求められるケースがあります。
入院・入所に必要な準備を行う
入院や入所に必要な準備を本人が行うのが難しい場合や、代わりに行える方がいない場合は、身元保証人に必要書類や生活品などの持ち物の用意を求められることがあります。
緊急事態への対応
治療トラブルや急な容態変化など、想定外の事態が発生した場合、身元保証人は緊急連絡先として対応するケースもあります。例えば、意思疎通が難しい患者本人に代わって、治療方針の説明や相談などを受けることがあります。
入院(入所)費・治療費を払えなかった時の支払い
本人が入院(入所)費・治療費を払えなかった場合、身元保証人に支払いの義務が発生する場合があります。ただし、病院や施設によっては身元保証人とは別に「連帯保証人」の提示を求め、未払い金については連帯保証人に支払いを求めるケースもあります。身元保証人を引き受ける際は、支払い義務についての項目をしっかりと確認しておきましょう。
亡くなった際の身柄の引き受け
身元保証人は、ご本人が亡くなった際に身柄を引き取る役割もあります。身寄りがない方の場合は、身元保証人が逝去後の事務手続きや葬儀の準備などを担うケースもあります。
親戚の身元保証人にはなれる?
ここでは「親戚の身元保証人にはなれるのか」また「どんな人が身元保証人になれるのか」その条件についてご紹介していきます。
「親戚」の範囲について
親戚(しんせき)とは、別名「親類」とも呼ばれ、血縁関係や婚姻関係によってつながりがある人を指す言葉です。ただし、この親戚の範囲は明確に限定されているわけではなく、配偶者の両親や祖父母、従兄弟・従姉妹などであっても親戚と呼びます。
身元保証人に「なれる人」と「なれない人」について
親戚であれば、誰でも身元保証人になれるというわけではありません。身元保証人の条件は、病院や施設によっても異なります。保証人に入院・治療費などの支払い義務が発生する場合には「支払い能力を有する成年者であること」や、生計を別にしている「別居家族」を条件としているケースもあります。
逆に、支払い義務については別に「連帯保証人」を立てる場合は、経済力などの条件を求めず、成年者であれば良いとしているケースもあります。
いずれにしても、いざという時にしっかりと対応できる必要があります。親戚であっても遠方に住んでいる、高齢である、収入が不安定などの理由から断られるケースもあります。
親戚の身元保証人になる際の注意点
「②身元保証人の主な役割について」の項目でもご紹介した通り、身元保証人の役割は多岐にわたります。場合によっては重い責任を負うことにもなります。
また、病院や施設によってもその責任の範囲は異なります。「名前を書くだけだから」と軽い気持ちで依頼したり、引き受けたりせず、依頼する側も引き受ける側も、保証人に求められる役割や責任の範囲について、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
身元保証人になれる親戚がいない場合はどうする?
下記では、親戚や身近な人に身元保証人を頼める人がいない場合の対応策についてご紹介しています。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターとは、住民の健康維持や生活の安定のために、医療や福祉に関する援助・支援を担っている機関です。お住まいの市区町村のホームページなどから問い合わせてみましょう。
身元保証サービスを利用する
民間の業者が提供している「身元保証サービス」を利用するという方法もあります。
サービス内容は提供している事業者によってもさまざまですが、身元保証を始め、身元の引き受けや死後の事務手続きなどを含めて引き受けてくれる業者もあります。ただし、サービスの利用料には注意が必要です。
提示された料金にどこまでのサービスが含まれているかなど、サービスの範囲や追加料金の有無についてもよく確認した上で慎重に検討しましょう。
まとめ
入院や施設入所の際などさまざまな場面で必要となる身元保証人。依頼する側も引き受ける側も、保証人に求められる役割や責任の範囲について、事前にしっかりと確認しておきましょう。

記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。