生前整理を依頼するときの業者の選び方を紹介

2023/02/03

立つ鳥跡を濁さず、と言われているように、ある程度年齢を重ねてくると自分に万が一のことが起こったとき、すっきりと手続きが進められるように身の回りを整理しておきたいと思うものです。

しかし、自分だけで手続きを進めようと思っても、体力や手間の負担が大きく、なかなか手を付けにくいでしょう。

こちらでは、生前整理をどう進めるべきか、業者を選ぶ時のポイントについて見ていきます。

生前整理とは?

生前整理とは、自分にとって不要なものやいざというときに残された家族が処分に困るものをあらかじめ処分しておき、自分の死後の手続きをより簡易にすることです。

基本的に断捨離と同じ内容ですが、単に現存する不用品を処分するだけでなく、処分しなかったものをどのように消費していくのか、自分の死後に遺族の負担を減らすことを念頭に作業を進めなければなりません。

生涯自宅で過ごす場合にはいざというときに備えてゆっくり作業を進めることができますが、高齢者住宅や介護施設等に入所する際には、荷物を大幅に減らさなければなりませんので、老後を意識するようになったら、少しずつ生前整理について考えていきましょう。

生前整理を始めるタイミングは、施設への入所や子供との同居などのきっかけだけでなく、ある程度の年齢になってから徐々に始めるケースも見られます。

生前整理をする上で、荷物の処分を決めるときの判断力や処分する際の体力、気力なども必要になりますので、早ければ40~50代の内から始める人も少なくありません。

手続の手順は残っている荷物の内容や状況によっても異なりますが、品物については自分が大切にしているものの、大した価値がない場合には死後に処分する予定で手元に残しておき、誰かに引き継いでほしい品物はその旨を伝えておきます。

判断に迷うものはとりあえず残しておいて死後に処分するようにしておき、不用品はすぐに処分するという流れで良いでしょう。

自宅がある場合には、死後に処分するものを一か所にまとめて保管できますが、高齢者住宅などに引っ越して自宅を処分する場合には、出来る限り荷物を処分するかトランクルームなどの利用を検討しなければなりません。また、誰かに譲る予定の品物は相手にもきちんと伝えておく必要があります。

さらに、近年は動画や写真などのデジタルデータやSNS、オンラインサービスのアカウントなどのデータの管理も必要です。

使わない契約は早めに解約しておき、残さなければならないアカウント等は自分の死後に手続きを任せることができる人にパスワードと一緒に伝えておくようにしましょう。

生前整理と終活の違い

生前整理によく似た言葉として、終活という手続きが挙げられます。終活は、自分の人生の終焉に向けた人生設計を行う活動を包括していますので、自分の所持品を分類して不用品を処分する生前整理も終活の一部と言えるでしょう。

終活の場合、荷物の整理だけでなく、自分が認知症や寝たきり状態になって判断能力が失われたときの処置や死後の遺品整理まで、状況に応じて自分の希望通りに手続きを進めてもらえるように準備を進めておく必要があります。

そして、手続きに関する内容だけでなく、自分の思い出や感謝を伝えたい相手への伝言、今後手続きを依頼することになる遺族への依頼、どのような考えで遺産相続の内容を決めたのかなど、自分の言葉で伝えておきたい内容を記録しておくことも終活において重要な作業の一つです。

終活では、寝たきり状態になったときの医療や介護、自分が死亡した時の葬儀や法要、遺産相続などについてエンディングノートや遺言書を作成しておかなければなりません。

さらに、デジタルデータのアカウントやパスワードをリストアップして、死後にどのように手続きをするかまとめておいたり、印鑑や通帳、不動産の権利証などの所在を明らかにしたりして、遺族が手続きをする際の負担を軽減させます。

生前整理の業者とは

生前整理は物理的に荷物を処分するだけでなく、自分が亡くなった後に滞りなく遺品の処分ができるように、手続きをしておく必要があります。

そのため、一人で全ての手続きを進めるのは時間がかかりますし、法的な知識が必要になることが多く、体力的・精神的な負担も大きくなりがちです。

このような状況を受けて、近年では終活や生前整理に関する専門知識を有しており、死後の手続きについてもサポートを行う業者に依頼するケースが増えてきています。

とはいえ、生前整理は資格を必要とするものではありませんので、信頼できる業者を探して申し込みをしなければなりません。

生前整理と言っても、手続きの内容は遺品整理に近いものです。遺品整理を行っている業者ならばほとんどの場合、生前整理の相談にも対応してもらえるでしょう。

具体的な作業内容は業者によって異なりますが、基本的に自分が所有している品物を依頼者の希望にそって分類・整理した後、不用品があれば処分されます。不用品の内、換価価値があるものについては買取という形で手数料から割引を受けられることもあります。

そして、手元に残している品物の内、相続に関する財産価値があるものの仕訳を行ったり、デジタルデータの整理を行ったり、遺言書作成のサポートを行ったりするのが生前整理業者の主な仕事内容です。

業者選びのポイント

生前整理を業者に依頼するときには、実績と信頼性があるところに依頼する必要があります。

とはいえ、頻繁に利用するサービスではありませんので、どのように業者を選べばよいのか迷うこともあるでしょう。こちらでは、生前整理の業者を選ぶ時のポイントについて見ていきます。

これまでに多くの生前整理を行っている

業者選びで重要視したいことの一つが、業者の実績です。一口に生前整理と言っても、その内容は多岐にわたっていますし、中には法的な知識を必要とするもの、専門的なスキルが求められるものも少なくありません。

そこで、ホームページや利用者のレビューなどから過去にどれくらいの生前整理を行ってきた実績があるのか確認して、保有している資格や許可証などから業者を絞り込むのがおすすめの方法です。

見積書が分かりやすく正確である

基本的に、業者は依頼内容からおおよその見積書を提示してきます。

この時、見積書を出さない業者や内容が曖昧で一括の金額しか表示しない業者、他者と比べて格安の業者は注意が必要です。オプションで追加料金が発生しないか、内容が分かりやすいか確認した上で業者を選ぶようにしましょう。

スタッフの対応やサービス内容の質が高い

スタッフが高圧的ですぐに契約を迫るケース、問い合わせをしても全く返答がないケースはあまりお勧めできる業者とは言えません。

電話やメールの問い合わせに迅速に対応してくれるか、言葉遣いや対応が丁寧か、きちんと知識が豊富なスタッフがそろっているかなど、業者の質は窓口の対応を見ても判断が可能です。

また、対応可能なサービスの種類が豊富なこと、実際に作業を依頼した時の対応がきめ細かいことも業者選びで重要なポイントとなります。

生前整理は信頼できる業者に依頼しましょう

このように、生前整理は思い立ったら早めに手続きが必要ですが、業者に依頼することでより効率よく、負担を抑えて手続きを進めることが可能です。

信頼できる業者に手続きを依頼できれば、存命中に生前整理のめどが立って安心できるだけでなく、自分に何かあってからも遺族が希望通りの手続きをこなせるようになるでしょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。