老人ホームに入る前にしておくべき?生前整理をする時のポイントを解説
2023/05/25
老人ホームなどの施設に入り、人生の最後を迎えるという選択をする人も多くなっています。そこで注目されているのが生前整理です。自分も老人ホームに入る前に、生前整理をしておきたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、生前整理の進め方がよく分からないと悩む人も多いです。今回は老人ホームに入る前に生前整理をするメリットや、作業の仕方について詳しく解説していきます。
目 次
生前整理とはどういうもの?
生前整理というのは、自分が元気なうちに遺産や家にある不用品などを整理することです。年老いてくると、要不要の判断が難しくなったり、家具や家電などを片付けるのが難しくなります。長い間生きていると、様々なものが溜まってしまうものです。
そういった不用品を、自分自身で片付けておくことで、安心して人生の最後を迎えることができます。自分が死んだ後に家族に迷惑をかけたくない、大切なものは自分の手で整理しておきたい、そういった考えを持つ人が増えたことで、生前整理が注目されるようになりました。
老人ホームに入る前に生前整理をするメリット
老人ホームに持ち込む荷物を整理しやすくなる
老人ホームに入る際は、何を持ち込むかの選定をしなければなりません。施設によって変わりますが、一人暮らし向けのものであれば1K~1DK程度、夫婦向けは2K程度の間取りが一般的です。
一軒家やファミリー用のマンションに住んでいた人の場合、基本的にはこれまでより間取りが狭い住居へ引っ越すことになります。
そのため、すべての荷物をそのまま老人ホームに持っていくことは無理だと考えたほうがよいでしょう。老人ホームに入る前に生前整理を行っておけば、何を持ち込むべきかの判断がしやすくなります。
生活に必要なもの、家に置いてあるけれどずっと使っていないものなど、しっかり仕分けしておけば、老人ホームへ入居する準備もスムーズにできるでしょう。
残された家族の負担がなくなる
家族と同居していて、自分だけ老人ホームに入るというケースもあるでしょう。その時、自分の荷物をすべて家に置いたままにしておくと、家族が管理をしなければなりません。
普段使わないものを長期間保管しておくのは大変ですし、自分が大切にしているものを勝手に捨てられてしまったなどのトラブルが起きる可能性もあります。
また、いずれ自分が亡くなった時は、大量の不用品を家族が整理しなければならないのです。亡くなった人の遺品を整理するというのは、肉体的にも精神的にも大きな負担をかけます。
老人ホームに入るタイミングで、しっかり生前整理をしておくことは、大切な家族に迷惑をかけないためにも大切なことです。
家が暮らしやすくなる
老人ホームに入ったからといって、必ずしも家を手放すというわけではありません。家族と同居している場合は、お正月やお盆などに一時帰宅をして、家で家族と過ごすというケースもあります。
生前整理をしておけば、家の中がスッキリとして一時帰宅をした時に快適な生活を送れます。家が片付いて暮らしやすい環境が手に入るということは、自分にとっても同居している家族にとっても魅力的なことです。
老人ホームに入る前の生前整理の仕方
生前整理の基本は仕分けから
生前整理をする時は、仕分けから始めるようにしましょう。最初から「要らないものを捨てる」という考え方で始めてしまうと、なかなか作業が進まなくなります。まずは何が必要で何が不要なのか、しっかり分けておくことが大切です。
通帳や現金、有価証券などはリストアップしておき、家にどのような貴重品があるのか把握しておくとよいでしょう。老人ホームに置いておけないようなものは、金庫サービスなどの利用も検討してみてください。
日用品や普段着る洋服などは、老人ホームに持っていくものと捨てるものを分けておくと、整理しやすくなります。
普段は使わないけれど、大切に保管しているようなものは、1年以内に使ったものかどうか考えてみましょう。数年使っていないようなものは、大切なものであっても今後使う可能性は低いので、不用品として処分したほうがよいかもしれません。
家族の写真や記念品など、思い出の品を大量に保管している人は、量を減らすことを心掛けましょう。いくら思い出の品だからといって、すべてを保管しておくのは大変です。
写真などデジタル化できるものは、データにしてパソコンなどに移しておくだけでも、量を減らすことができます。
貴金属やまだまだ使えるような家電は、捨てるのではなくリサイクルショップなどに売るのも1つの方法です。中には要不要がすぐに判断できないものもあるでしょう。
どうしようか考え込むと作業が中断してしまうので、そういったものは一時保留にして他の作業を進めてください。保留にしたものは後でもう一度見直し、あらためて捨てるかどうか判断すれば問題ありません。
不用品を処分するスケジュールを立てる
生前整理をする時は、処分するスケジュールを立てておく必要があります。ごみというのは、出したい時に出せるわけではありません。可燃ごみや不燃ごみ、資源ごみなど自治体によって捨てられる日が決まっています。
収集日のスケジュールに合わせて不用品を整理すれば、すぐにごみを出せるのでスムーズに作業が進みます。自治体によっては、一度に大量のごみを出せないことがあるので、事前にルールを確認しておきましょう。
粗大ごみに関しては、可燃ごみなどと同じように捨てることができません。自治体によって粗大ごみに分類される大きさ、処分の仕方が変わってくるので、自治体のホームページなどをチェックしてみてください。
場合によっては、粗大ごみの申し込みをしてから回収までに数週間かかることもあります。引っ越しまでに間に合うよう、早めに準備を進めておきましょう。
物品供養のことも考えておく
仏壇など、そのままごみとして捨てるのは忍びないものもあるでしょう。粗末に捨てることができないものは、物品供養することも検討してみてください。お坊さんにしっかり供養してもらったうえで処分すれば、安心して手放すことができます。
仏壇以外に、人形やぬいぐるみなどを物品供養する人も多いです。身近に物品供養してくれるお寺や神社がない場合は、物品供養にも対応した生前整理の業者に依頼するのもよいでしょう。
生前整理をする時のポイント
家族と話し合いながら進める
生前整理は、遺産相続などにも関わってきます。そのため、自分だけで勝手に進めるのではなく、家族と話し合っておくことが大切です。事前に話し合いをしておくことで、後々トラブルが起こるリスクを避けられますし、家族の理解を得れば協力して作業を進めることができます。
無理して一人で行わない
不用品の中には、家具や家電など大きなものもあります。自分だけで重たい荷物を運び出すのは大変なので、なるべく人手を確保したほうがよいです。
無理に一人で作業を進めて、身体を壊してしまっては意味がありません。周りに手伝ってくれる家族がいないようであれば、専門の業者を利用することも検討してみてください。
生前整理をして身の回りをスッキリさせておこう!
老人ホームに入る前に生前整理をしておくことで、家族の負担が減る、自分が亡くなった後のトラブルを回避できるなど、様々なメリットがあります。
また、老人ホームに何を持っていけばよいか、迷うこともなくなるでしょう。生前整理を行なう時に重要になるのが、スケジュールを立てて作業を進めるということです。老人ホームへ入ることが決まったら、なるべく早めに生前整理の準備も進めておきましょう。

記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。