相続対策には生命保険がおすすめ?そのメリットを解説!

2022/11/15

生命保険とは死亡や病気、けがなど、万が一の時のための備えとして活用されている保険です。しかし、一方で相続対策として検討している人も少なくありません。そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、生命保険を相続対策として活用するメリットを5つご紹介していきます。相続について検討している方はぜひ参考にしてみてください。

保険金の非課税枠が適用される

相続をする際に忘れてはならないのが、相続税です。生命保険金もみなし相続財産とされるため、相続税の課税対象となります。しかしながら、生命保険に関しては死亡保険金の受取人を法定相続人としている場合、「500万円×法定相続人の数」までは非課税枠の適用を受けることができます。

つまり、法定相続人が4人いるようなケースでは、保険金のうち2,000万円までは非課税の対象になるということです。一般的に保険金ではなく現金で財産を遺している場合、基礎控除額を超える分の財産に対しては、もちろん相続税がかかります。

また、被相続人が保険料を支払うことで相続財産の額自体を減らすことも可能です。これらの事から、生命保険を利用する方がメリットがあると言えるでしょう。

誰に渡すかを明確にできる

相続の際に親族の間で揉め事が起こってしまうケースは少なくありません。遺言を残していない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれだけ相続するか、話し合いの元で決定する必要があります。

しかし、生命保険ではあらかじめ保険金の受取人を指定することができます。つまり、本人が亡くなった時に、その保険金を受け取れる人を明確にできるということです。また、他の相続人と話し合いをする必要もなければ、遺留分の請求を受けることもありません。

そのため、遺産相続をスムーズに進めていけるでしょう。被相続人にとっても、自分が望む相手にあらかじめ決めた財産を確実に遺せるというメリットがあります。

相続放棄の場合でも保険金を受け取れる

相続財産には様々な種類のものが含まれており、プラスになるものばかりではありません。中には、債務超過で相続人の負担となってしまうケースもあるでしょう。

そのような場合には、「相続放棄」という手段が取られることがあります。相続放棄をすれば、亡くなった人の借金を引き継ぐことはなくなります。それと同時に、他の財産に関しても放棄する必要があります。

しかし、生命保険に加入している場合、相続放棄をしても保険金を受け取ることができます。なお、相続放棄を宣言する際には期限に注意しましょう。相続の開始を知った日から、3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。

また、相続放棄をした時点で法定相続人ではなくなります。生命保険の非課税枠の適用を受ける条件を満たせなくなることも理解しておきましょう。

早いタイミングで活用できる

保険金は手続きさえ行えばすぐに受け取ることができます。このことは、生命保険に加入するメリットの一つとして挙げられるでしょう。

通常、「預貯金の一部払い戻し制度」によって、預貯金などの相続遺産の一部を引き出すことはできますが、遺産分割協議が全て終わるまでは全額を受け取ることはできません。

しかし、生命保険にはこの制度が該当せず、比較的早いタイミングで受け取りが可能になります。そのため、葬祭費用や相続人の生活費として使うこともできるでしょう。

その他には、相続税の資金としても活用することができます。相続する財産の中には、土地や建物などすぐに現金化できないものも含まれます。これらを相続した場合も、当然相続税がかかり、亡くなってから10ヶ月以内に支払う必要があります。

しかし、土地や建物をすぐに現金化することはできません。状況によっては、すぐに相続税を用意できず、困る場合もあるでしょう。そんなとき、生命保険の保険金があれば、すぐに現金化して相続税に充てることができます。

相続人の無駄遣い防止ができる

相続対策として、生前贈与を行うケースもあるでしょう。生前贈与とはその字の通り、生きている間に相続人に財産を贈与することを指します。生前贈与の場合は、相続人一人に対し、毎年110万円までが非課税の対象となっています。

そのため、毎年この範囲内で現金の贈与を行い続ければ、その分亡くなった際の相続財産を減らすことが可能です。しかし、一方で現金で渡すため、無駄使いの心配が出てきます。「自分が死んだ後、何かに役立ててほしい」という被相続人の思いとは異なり、相続人が受け取ってすぐに使ってしまうこともあるでしょう。

生命保険であれば、受け取れるのは被相続人が亡くなった後ですので、無駄遣いの心配を減らせます。被相続人の思いをそのまま形にして遺すことができるでしょう。

生命保険を活用した相続対策は専門家へ相談しよう

相続対策として生命保険を活用する場合、相続人や財産などの状況によって最適な保険は異なります。もし活用を検討する場合は、相続や保険に強みのある専門家や金融機関の専門部署などに相談してみると良いでしょう。自分がこの世から去った後に、無駄な争いやトラブルを招かないよう、相続対策は計画的に行っておくことが大切です。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。