空き家の遺品整理・生前整理は自分でできる?流れと業者に依頼するとかかる費用相場を解説
2023/03/15
空き家の遺品整理・生前整理は自分でできるのか、業者に依頼しなければならないのかを判断するのは簡単ではありません。実際に自分でやるにはどのような作業になるのかが具体的にわかると、できるかどうかを考えやすくなるでしょう。
ここでは、遺品整理や生前整理についてご紹介していきますので、業者に依頼したときにかかる費用相場も加味して、自分で整理すべきかどうかを考えてみましょう。
目 次
自分で空き家の遺品整理・生前整理をする流れ
空き家の整理では、全体的な計画を立てて準備し、空き家の中のいらないものを処分していくというのが大まかな流れです。自分で整理するには具体的にどのような作業が必要になるのかを確認していきましょう。
全体スケジュールの策定
初めに、空き家の整理の全体スケジュールを立てます。空き家の整理はほとんど不用品がなかったとしても、1日で終わることはほとんどありません。
整理をしに空き家に行く日程と、日ごとに終える作業を具体的に決めます。「キッチンの整理」「庭の清掃」「ゴミの搬出」などといった形で決めてスケジュールを確定します。
作業に必要なものを準備
空き家での作業をスムーズかつ安全にするために必要な道具を手配します。清掃用具やゴミ袋、ガムテープやひも、段ボールなどの運搬に使える箱などを用意しておく必要があります。また、軍手やゴム手袋、マスクや動きやすい服などを準備して衛生的に作業を行えるようにしましょう。
空き家の状況によっては、殺虫剤やくん煙剤で処理してから作業を始めた方が良い場合もあります。現場の状況に応じた準備が必要ですので、一度現地を確認してから用意すべきものを考えることが大切です。
取っておくもの・捨てるものの仕分け
整理のときには、取っておくものと捨てるものを仕分けします。基本的に捨てるものを積極的にまとめていき、必要かどうか迷ったものは後で判断する方がスムーズです。
取っておくものは段ボールなどに整理して持ち帰ります。段ボールに入れる時点で誰が持っていくのか、どうやって保管したいのかも考えて整理すると、後の手間を減らすことができます。
ごみの捨て方の確認・処分
捨てるものは処分に出します。可燃ごみや不燃ごみ、プラスチックごみなどは自治体の収集に出せますので、ルールに従って捨てましょう。粗大ごみを捨てる場合には予約したり、ごみ処理場に持ち込む必要があるため、事前に連絡して手配しておくことが大切です。
不用品回収を依頼したり、買取業者に来てもらう処分方法もあります。家具や家電、貴金属類などは買取に出せる可能性がありますので検討してみましょう。
空き家の清掃または解体
必要なものを持ち帰り、不用品を処分したら清掃作業を始めます。空き家が賃貸物件の場合には、原状回復をしなければなりません。持ち家で整理を終えたら住みたいと思っている場合や、売りたいと考えている場合にもきれいに清掃する必要があります。
汚れがひどくて手に負えないときには、ハウスクリーニングを依頼して対処することも考えましょう。一方、持ち家で処分したいと思っている場合には解体することも可能です。
清掃をする必要がなく、新しい家を建てることも土地を売ることもできますので、費用はかかるものの検討する価値はあるでしょう。
自分で空き家の整理ができるかを判断する7つのポイント
作業の具体的な流れがわかり、空き家の整理を自分でやるのは大変だと思った人もいるでしょう。ここでは、自分で空き家の整理ができるかを判断する基準として考えた方が良いポイントを簡単にご紹介します。
空き家の広さ
空き家が広い場合には自分で整理するのは断念した方が良いでしょう。2LDK程度が自分でできる限界で、3LDK以上になると忍耐力と時間の余裕がないとなかなか整理を終えられません。空き家の様子を見て広くて大変だと思ったら、自分でやるのはやめておいた方が無難です。
整理の作業に携われる人数
生前整理でも遺品整理でも何人で作業できるかによって左右される面があります。遺品整理で親族が多く、全員で作業できるなら広い空き家でも自分たちで整理を終えられる可能性があります。
生前整理でも家族が手伝ってくれたら比較的簡単です。1人や2人で全部終えるのは難しいですので、少なくとも3人は確保できるかを前提にして判断しましょう。
空き家の場所までの距離
空き家が自宅の近くにあれば作業をしやすいですが、遠く離れている場合には自分でやるのは大変です。通える範囲内ならごみを自治体に捨てられますが、新幹線や飛行機で移動するような距離の場合にはごみ処理で苦労することになります。
距離が遠くて気軽に通えないなら、業者に依頼した方が良いでしょう。
整理の期限の有無
空き家の整理に期限がある場合には業者に任せるのが無難です。遺品整理のときには、相続税の関係で遺品整理を早く終えなければならない場合や賃貸物件で返す期日が明確に定められている場合があります。
整理は予定通りに進まないこともよくありますので、遅れが発生しても問題がなく実施できるかが自分でやれるかどうかを判断する基準の一つになるでしょう。
家の中の衛生状態
空き家の衛生状態に問題があるときには基本的に専門業者に依頼した方が安全です。故人が亡くなっているのに気付かず、しばらくしてから発見されたといったケースでは衛生状態が悪くて特殊清掃が必要になります。
このようなリスクが高い空き家での遺品整理は自分でやらずに業者に相談するのが適切です。
処分すべきものの多さ
家の中も外もごみだらけで処分しなければならないものが多いときには自分でやるのは困難です。捨てるだけでも何日かかるかわかりませんので、業者に依頼した方が良いでしょう。
生前整理をしていなかった場合の遺品整理でも、捨てるものが多くて途方に暮れることがよくあります。故人から生前整理をしたという話を聞いていない場合には、空き家の状況を確認して検討することが大切です。
水回りの使用の可否
水回りが使える状態だったら自分でも清掃できますが、水道を止めてしまっていて再開できない事情がある場合には業者に依頼した方が良いでしょう。清掃では水がないと厳しいからです。
水回りが使えない場合でもごみの処分だけ自分でやって、清掃はハウスクリーニングに任せるという方法もあります。ただ、濡らした雑巾すら使えず、取っておきたいものを拭いてきれいにすることもできないので苦労することは否めません。
業者に整理を手伝ってもらった方が安心でしょう。
業者に空き家の整理を依頼したときの費用相場
自分では空き家の遺品整理・生前整理は難しいと思ったときには業者に依頼しましょう。業者に依頼するとかかる費用の相場は空き家の広さ、残っている遺品の量、家の中の環境などによって大きく変わります。大まかには次のように部屋の広さによって相場が決まります。
・1R:3万円~8万円
・1LDK:7万円~20万円
・2LDK:12万円~30万円
・3LDK:17万円~50万円
・4LDK:22万円~100万円
具体的な金額は個々に見積もりを取ってみなければわかりません。生前整理をして不用品がほとんどなくなっていれば相場よりも安くて済む場合もあります。
また、放置して酷い状況になる前に空き家の整理をすれば費用を抑えられます。遺品整理をする段階になるとずっと放置したままで費用がかさんでしまいがちですが、生前整理の段階ではまだ家の状態が悪くないことが多いため、費用が安く済むのが一般的です。
早めに整理するのは業者に依頼する費用を抑えるポイントです。
空き家の整理を自分でできるかはよく考えて判断しよう
空き家の整理は自分でもできるのは確かですが、スケジュールを立てて計画的にコツコツと進めていく必要があります。準備も作業も大変ですので、業者に依頼した方が良い場合もあるでしょう。
空き家の整理にかかる費用は、家の状態が良いうちの方が安くなるのが一般的です。空き家になった直後なら相場よりも費用を抑えられる可能性がありますので、生前整理や早めの遺品整理の手配を検討しましょう。

記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。