障害者手帳を持っている方の割引制度と介護タクシーの利用について

2024/06/19

障害者手帳を取得している場合、一定の要件を満たすことで、さまざまな割引が受けられる場合があります。
この記事では、介護タクシーを利用する場合に、移動時に受けられる割引についてご紹介します。
どのような割引が受けられるのか、どうすれば割引が適用されるのか確認していきましょう。

障害者割引とは

障害者割引とは、身体障害者手帳をはじめ、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳を持っている方に適用される割引制度です。
割引制度によって、どの手帳を持っていれば割引が受けられるかは異なります。
身体障害者手帳は、最も割引の種類が多い手帳になります。
身体障害などがあると、健常者に比べて移動に時間がかかる場合や介助者が必要になるなど、手間やコストがかかるケースが多いためです。
障害を持つ方が、コストを抑えてスムーズに社会生活を送れるように設けられているのが障害者割引の制度です。
障害者割引は、障害者手帳等を提示することで割引が受けられます。
障害者割引の内容は、自治体によっても異なるため、お住まいの地域ごとに確認が必要です。

有料道路の障害者割引制度

身体障害者手帳または療育手帳を取得している場合、有料道路の障害者割引制度を受けることが可能です。
身体障害者手帳は、身体に一定の障害を持っている方が取得できる手帳であり、療育手帳とは一定の知的障害を持つ方が取得できる手帳で、地域によっては愛の手帳という名称が付いている場合もあります。
この制度は、事前の登録をすることで、高速道路などの有料道路を利用する場合の料金が50%割引を受けられるというものです。
これまでは、事前に登録された自家用車1台のみが割引の対象でしたが、2023年3月27日から有料道路の障害者割引制度の見直しが適用されることになりました。
事前に登録しておくことで、タクシーや介護タクシー、レンタカーなどで利用する場合も割引の対象になることになったのです。
もっとも、そのためには事前登録の必要や実際に介護タクシーなどに乗車する際に、介護タクシードライバーに申し出を行って協力してもらうことが必要です。

有料道路の障害者割引制度を利用するには

有料道路の障害者割引制度を利用したい場合、事前に自治体で利用申請をすることが必要です。
オンライン申請もできるようになり、よりスムーズになりました。
障害者本人が運転する車で障害者割引を利用する場合は、「道路」というマークを取得してそのシールを障害者手帳に貼付して利用しますが、介護タクシーなど、他人の車や他人が運転する車で障害者割引を利用したい場合には、「道路介護」というマークを取得して、障害者手帳にシールを貼付することが必要です。
そのうえで、介護タクシーなどを予約する際、または乗車する前にタクシー会社またはタクシードライバーに有料道路の障害者割引を利用する旨、登録済みのETCを利用したい場合は、その旨を必ず事前に伝えましょう。
タクシーの賃走がスタートした後に、ドライバーに乗務員に有料道路の障害者割引を利用したい、登録済みのETCを利用したいと申し出ても、割引の適用は受けられないため、必ず発車前までに申し出ることが必要です。
そのうえで、乗車にあたっては必ず障害者手帳を持参してください。
「道路介護」のマークが付いた障害者手帳を料金所で提示することが必要なためです。
登録済みのETCを利用する場合も、ETCレーンやスマートICで無線通行(ノンストップ走行)すると、障害者割引が適用されません。
ETCカードで支払いたい時も、必ず料金所の係員に障害者手帳を提示することが求められます。
ETCを使って障害者割引の適用を受けたい場合、介護タクシーなどを利用する前にETC車載器が搭載されているか、障害者が登録したETCカードを介護タクシーのETC車載器に挿入できるか確認しましょう。
ETCカードを車載器から抜けないタクシーの場合、有料道路の障害者割引を利用できないので事前確認が必要です。
また、介護タクシー会社のETCカードを使用した場合、障害者手帳を提示しても、障害者割引は適用されません。
介護タクシーが発進する前に、ドライバーに登録済みのETCカードを渡し、ETC車載器にセットしてもらいましょう。
料金所で障害者手帳に加えて、登録済みETCカードの提示を求められる場合もあるため、登録済みETCカードもあわせて持参してください。
もし、介護タクシーにETC車載器が搭載されていない場合は、現金などによる支払いをすることになります。
上限料金がある有料道路を利用する場合、障害者割引よりも、障害者割引を適用せず、タクシーのETCを利用したほうが料金が安くなる場合もあるので、事前に利用する有料道路の料金などをよく確認することが必要です。

身体障害者手帳を持っている場合のタクシー運賃割引

タクシー料金の障害者割引制度は、国や自治体による制度ではなく、タクシー事業者が提供している制度です。
タクシー事業者によって実施の有無が異なっており、実施している場合はタクシーの乗車料金が10%割引されます。
すべてのタクシーで利用できる制度ではないため、乗車前に乗務員に確認しましょう。
利用できる場合も、障害者手帳を提示しないと割引が受けられません。
外出時には忘れずに障害者手帳を持ち歩くことが必要です。
介護タクシーの料金は、運賃と介助料、機材使用料などで構成されています。
障害者割引が適用されるかは、介護タクシー会社によって異なります。
適用される場合も運賃部分などに限られ、介助料や機材使用料に関しては通常料金となるのが一般的です。
介護タクシーの予約時に、障害者割引が受けられるか確認しましょう。
適用される場合には、乗車時に必ず障害者手帳を持参し、ドライバーに提示してください。

まとめ

身体障害者手帳を持っている方は、介護タクシーで高速道路などの有料道路を利用する場合に、料金の割引が受けられる場合があります。
そのためには、事前に登録申請を行い、「道路介護」マークを取得したうえで身体障害者手帳に貼り付け、料金所で提示することが必要です。
また、事前に介護タクシー会社またはドライバーに申し出を行い、走り出す前に了解を得ることや登録済みのETCカードを介護タクシーの車載器にセットしてもらわないと、割引の適用が受けられないので気を付けましょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。