生前整理と遺品整理の違いとは?それぞれのやるべきことを解説
2023/02/05
生前整理は遺品整理と何が違うのか疑問になっていませんか。
どちらも人が亡くなるときに重要な取り組みですが、意味はまったく異なります。この記事では生前整理と遺品整理のそれぞれの意味と、やるべきことを解説します。
生前整理と遺品整理の違いだけでなく、関わり合う部分についても詳しく説明するので参考にしてください。
目 次
生前整理とは
生前整理とは高齢者になって人生の終わりが見えてきたときに、自分が亡くなっても遺族が遺品の始末で困らないように整理をすることを指します。
現金や有価証券、不動産だけでなく、身の回りにあるものを一通り整理して、残された遺品をどのように取り扱ったら良いかで遺族が悩まないようにするのが目的です。
本人が生きているうちにいらないものを処分するのが最も基本で、本人だからこそ貴重なものは残し、遺族にとっていらないものは処分することができます。
例えば、有価証券のように価値のあるものは残しておけば遺族にとって使いやすい財産になります。しかし、趣味で撮影した写真のアルバムのように本人にとっては貴重なものでも、遺族にとっては本音を言えば貴重ではないものもあるでしょう。
それでも故人を思うと捨てられないという気持ちに駆られがちです。結果として遺族に大量の品物をずっと保管させることになってしまう場合があります。生前整理をして本人が処分をしてしまえば、遺族に負担をかけることがありません。
もし後世まで伝え残して欲しいものがあるなら、生前整理をしているときに家族に話をして適切な保管方法を相談しておくことが可能です。本人も納得でき、家族も困らない残し方ができるようになります。
また、生前整理ではエンディングノートや遺言書を作成することもあります。エンディングノートを通して家族や友人にメッセージを残したり、遺言書によって相続トラブルにならないように財産の分配方法を明確にしたりするのは終活の一環としてもよくおこなわれていることです。
生前整理をすると自分が亡くなったときに周囲にかかる負担が少なくなるだけでなく、メッセージなどを見つけて嬉しい気持ちを持ってもらえます。
遺品整理とは
遺品整理とは親族が亡くなったときに、残された遺品を整理することを指します。遺品の取捨選択をして今後も保管していくものと、捨てたり売ったりするものを選別していくのが遺品です。
基本的には遺産として残されたものなので、相続した上でいらないものは処分することになります。遺品整理では本人の意向がわからないため、捨てて良いものかどうかで悩んでしまうことがよくあります。
遺品整理のために親族が全員集まるのも難しいことが多く、いつまでもできないで困ってしまうことも稀ではありません。そのため、遺品整理業者に依頼して対処してもらうことも多くなってきています。
遺品整理でやるべきことは個人の残した遺品をリストアップして、必要なものは残し、不用品は廃棄することです。必要なものは遺族の間で誰が持って行くのかを決めることも必要になります。
いわゆる形見分けで、同じものが欲しいという人が複数出てくることもあるので、遺産相続の相談と併せて協議しなければなりません。
遺品整理を相続人全員でおこなわなかった場合には、誰かが欲しがるだろうと思って残した遺品の引き取り手がいなかったら処分をする必要があります。
一般的に遺品は非常に多いので処分にも手間がかかります。自治体の収集スケジュールに合わせて捨てようとしても量が多くて迷惑になったり、収集日に合わせてゴミ出しに行くのが大変だったりすることも少なくありません。
そのため、費用をかけて不用品回収業者に依頼して処分するといった工夫をしなければならない場合もあります。遺品整理の大変さは残されている遺品の量や内容によって大きく異なり、簡単に終わってしまうケースもあります。
遺品の量が少なく、それぞれの遺品を誰が持つべきかがはっきりしているとスムーズです。
生前整理と遺品整理の違い
生前整理と遺品整理の違いは、遺品をどの時点で誰が処分したり、相続する人を選んだりするかです。生前整理では遺品になるものを生前に本人が取っておくべきか、捨てるべきか、誰が相続すべきかを決めることができます。
遺品整理の場合には本人が亡くなった後、本人の意向に関係なく、遺族が遺品を形見として引き継ぐかどうかを一つずつ考えて取捨選択をするのが特徴です。
生前整理も遺品整理も遺品の取捨選択をする点では同じですが、タイミングも判断する人も違う影響で生前整理の方がスムーズにできるのが一般的です。
また、必要性についても生前整理と遺品整理では異なります。生前整理をしても遺品整理は必要ですが、生前整理は必須ではありません。
残された遺品は相続するか処分するかを検討しなければなりません。生前に本人が整理をしてもしなくても遺品があるので遺品整理は必須です。生前整理は本人が希望する場合に自主的におこなうもので、終活として生前整理をするかどうかは自分で判断して決められます。
生前整理をしておくと不要なものがなくなり、故人が必要と思っていたものだけが遺品として残されます。遺品の数が少なくて価値のあるものが多いため、遺族としては遺品整理をするのが簡単になります。
また、生前整理の際にエンディングノートや遺言書を作成していれば、どの遺品を誰が引き継ぐべきなのかが明確です。遺言書の場合には法的拘束力があるのに対して、エンディングノートの場合にはあくまで故人のメッセージやお願いとしての位置付けになります。
遺品の性質に応じてエンディングノートや遺言書を残しておくと、遺族が遺品相続や形見分けのときに困らずに済みます。生前整理をしておくことで、遺品整理をする遺族の負担を軽減し、滞りなく相続のプロセスを終えられるようにできるでしょう。
遺品整理の負担を減らすために生前整理をしよう
人が亡くなると遺族は遺品整理をしなければなりません。遺品整理の負担を減らすためには本人が生前整理をしておくのが大切です。
生前整理によって遺族にとって不要なものを処分し、必要なものを誰に相続させるかを明確にすれば遺族の負担が軽くなります。
誰が整理するかが生前整理と遺品整理の大きな違いなので、残される家族のために生前整理をしておきましょう。

記事監修者
小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。