遺品整理とは?進め方や業者に依頼する場合の費用相場について

2022/07/26

遺品整理とは、故人の持ち物を整理し、部屋や家を綺麗にすることです。ご家族や身近な方の遺品整理について「何から初めて良いのかわからない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、遺品整理についての基本知識、進める上でのポイント、業者へ依頼する場合の料金相場などについてご紹介していきます。

遺品整理とは?

遺品整理とは、故人の遺した持ち物を整理し、部屋や家を綺麗にすることを指します。貴重品を初め、生活用品や思い出の品々について、何を残し何を処分するか、また、処分する場合は売却するのか廃棄するのかなど、ひとつひとつ考えていく必要があります。

遺品整理は遺族や身内の方が行う場合や、リサイクル業者や買い取り業者などに依頼して行う方法があります。核家族の増加や、年々進む高齢化社会に伴い、近年では遺品整理を専門に行う業者も増えています。

遺品整理はいつから始める?

遺品整理を行う時期については、特に決まりはありません。以下でご紹介する一般的なタイミングを参考に、それぞれの都合に合わせて無理なく進めていきましょう。

ただし故人が賃貸住宅で一人暮らしをしていた場合は、そのままにしていると家賃を支払い続けることになります。それを避けるためにはできるだけ早く遺品整理を終え、部屋を明け渡す必要があります。

不動産屋や管理会社に賃貸借契約の内容を確認し、スケジュールを立てていきましょう。また、持ち家の場合でも売却や譲渡を検討している場合は、売却・譲渡の時期に合わせてスケジュールを組む必要があります。

法要に合わせて遺品整理を行う

亡くなってすぐに仏になると考えられている浄土真宗以外の宗派では、故人の魂は亡くなってから49日目に極楽浄土に旅立つと考えられています。そのため、四十九日をひとつの節目として、遺品整理を行う場合も多くあります。

また、四十九日、一周忌、三周忌など、遺族が一堂に揃う法要のタイミングであれば、遠方に住んでいたり、それぞれが忙しく中々集まれないという場合にも、みんなで相談しながら形見分けなどを行うことが可能です。

葬儀後の各種手続きを終えてから遺品整理を行う

家族や身近な方が亡くなった後には、葬儀の手配を初め、金融機関、保険、行政関係など、対応しなければならない届け出や手続きが数多くあります。中には期限が定められているものもあるため、優先課題が決着し、故人の身の回りの手続きがひと段落したタイミングで遺品整理を始めるのも良いでしょう。

遺族の気持ちの整理ができてから遺品整理を行う

故人と同居していた場合や、故人が住んでいた家を手放す予定がない場合は、特に遺品整理を急ぐ必要はありません。遺族の気持ちの整理がつかないうちに無理して始めるよりも、できるところから少しずつ始めたり、時間を置いて気持ちの整理がついてから始めてはいかがでしょうか。思い出を丁寧に振り返り、ひとつひとつ整理していくことが、故人への供養にも繋がります。

遺品整理を行う際の注意点

ここでは、遺品整理を進めていく上での注意点についてご紹介していきます。

遺言書に遺品についての記載がないかを確認する

遺品整理を始める時は、必ず遺言書の中に遺品についての記載がないかを確認しましょう。記載があれば、故人の意思を尊重しそのとおりに実施する必要があります。

遺言書の保管場所を知らされていない場合は、契約書などの貴重品類の中や、銀行等の貸金庫を確認してみましょう。また、遺言(公正証書遺言)を公証役場で作成している場合は、公証役場で遺言の有無を検索できます。遺品整理中に自筆の遺言書(自筆証書遺言)を見つけた場合は、家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。自分で開封しないようにしましょう。

親族間で合意を得てから遺品整理を始める

後のトラブルを避けるためにも、遺品整理を始める際は必ず事前に親族間で合意を得てから始めましょう。デジタル遺品の取り扱いについて

遺品整理を行う際は、家具や物だけでなく「デジタル遺品」の取り扱いについても注意しましょう。デジタル遺品とは、スマートフォン・パソコンなどのデジタル機器内やクラウド上に保存されている情報、SNS、プロバイダ、会員サイトの契約などのことを指します。

自分で遺品整理を行う場合の流れについて

ここでは、業者に依頼せず、遺族などが自身で遺品整理を行う際の大まかな流れについてご紹介していきます。

まず最初に、遺品を仕分けするところから始めます。大きく分けると、家具・電化製品などの「大型家財道具」、衣類・食器・本・日用品などの「小物類」、宝石・アクセサリー・時計などの「貴金属類」、通帳・印鑑・契約書などの「貴重品類」に分類されます。

その後それぞれを、形見分けするもの、リサイクル・リユースするもの、処分するものと、遺品の行き先を決めていきます。判断に迷う品は、一旦保留品として仕分けていくとスムーズです。また、前述の通り遺言書の中で遺品についての記載がある場合は、故人の意思を尊重しそのとおりに実施する必要があります。

業者に遺品整理を依頼した場合の流れについて

近年では、核家族の増加や遺族の高齢化に伴い、遺品整理を業者に依頼するケースも増えています。ここでは、業者に遺品整理を依頼した場合の大まかな流れについてご紹介していきます。

遺品整理業者選び・見積り

まずはさまざまな遺品整理業者の中から、希望に沿った業者を選ぶ必要があります。中には、法外な値段を請求するなど、悪徳な業者もあるので業者選びは慎重に行いましょう。

家庭の不用品を回収するための資格である「一般廃棄物収集運搬許可証」を持っているかや、事業者情報、実際に利用した人の口コミ情報なども参考にしてみましょう。また、複数の業者に見積もりを依頼した上で、比較検討することをおすすめします。見積もりを出してもらったら、その他の追加料金の有無など、見積もり内容にどこまでの作業が含まれているかも事前にしっかりと確認しておきましょう。

整理作業の開始

作業当日は、あらかじめ決められた人数で整理作業が行われます。多くの場合、不用品の回収、リサイクル品の買い取り、仏壇の供養などもトータルで行ってくれます。ただし、必要なものまで処分されてしまった、ということのないように、処分しないものについては事前に遺族で仕分けを行うか、遺族立会いのもとで事業者に仕分けてもらうようにしましょう。

清掃作業(原状回復)

整理作業が終わった後、多くの場合、事業者が清掃作業を行ってくれます。また追加料金で、本格的なハウスクリーニングを提供している業者も多くあります。希望する場合は事前に確認しておきましょう。

業者に遺品整理を依頼した場合の費用相場について

遺品整理を専門業者に依頼した場合の費用は、部屋の間取りや広さによって変わってきます。一般的な費用相場は下記の通りです。

・1K、1DK、1LDK:3万円~7万円程

・2DK、2LDK:9万円~12万円程

・3DK、3LDK:15万円~17万円程

・4LDK:22万円~

また、同じ広さでも荷物の量によっては、作業時間や作業人数、回収用のトラックの大きさや台数などが変わるため料金が異なります。その他、作業の内容、範囲によっても料金が変わるため、遺品の仕分けやごみの処分を事前に可能な範囲で行っておくと、その分費用を抑えることができます。

その他、不用品の処分のみを業者に依頼した場合は、ゴミの量に応じて数千円〜数万円の費用がかかります。自分でゴミ処理場に持ち込むことが可能であれば、無料〜小額の手数料負担となります。自治体によっては自宅まで回収に来てくれる場合もあるので、一度確認してみましょう。

まとめ

一昔前まで、遺品整理は遺族が行うものとされていました。しかし近年では核家族の増加遺族の高齢化に伴い、専門業者に依頼するケースも増えています。

家族や身近な方が亡くなった際、遺された方は葬儀の手配を初め、実に多くのやるべきことがあります。少しでも負担を減らし、心から故人を弔うことができるよう、専門業者などを上手に利用しつつ遺品整理を始めてみてはいかがでしょうか。

遺族自身で行う場合も専門業者を利用する場合も、遺品整理において最も重要なことは、故人の想いの詰まった品々を、後悔のないよう適切に整理することです。遺品整理を大変な「作業」と考えるのではなく、故人や遺族の気持ちを尊重しながら、供養の気持ちを持って無理なく進めていきましょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。