介護タクシー料金の仕組みについて

2024/04/23

介護タクシーは、介護の専門資格を持つタクシードライバーが介助などもしてくれる安心で便利なタクシーです。
一般的なタクシーと比べ、どのような料金の仕組みになっているのか、介護保険は使えるのかなどを見ていきましょう。

介護タクシーの料金の基本構成

介護タクシーの料金は主に3つの要素で構成されます。
運賃、介助料、機材使用料です。
これに加えて、介助要員料や生活補助料などがプラスされる場合もあります。
一般的なタクシーは、運賃と必要に応じた迎車料金、待機料などがかかるくらいですが、介護タクシーの場合は利用者の状況やニーズに合わせて介助をする際や機材を使用する際の料金もかかります。
そのため、その都度、大きく料金が変わることや同じ距離を走るとしても介護度合いなどによって料金が異なるのが一般的です。
費用が気になる方は事前に見積もりをもらい、よく検討して依頼するか決めましょう。

運賃について

運賃は、一般のタクシーと同様に走行距離に応じて設定されるパターンのほか、日帰り旅行に出かけるなど所要時間が長くなる場合には、距離ではなく時間制で設定される場合もあります。
走行距離が長くなるほど、利用時間が長くなるほど高くなります。
また、走行中に高速道路などの有料道路を使えば、その料金の支払いも必要です。

介助料

運賃は、走行距離や時間数が同じなら基本的に同じになりますが、介助料は介助の必要性やニーズによって異なります。
たとえば、タクシーに乗るために歩行の介助をしてもらう、ベッドから車椅子へ移動させてもらう、ストレッチャーに乗せるといった一つひとつの作業に対して介助料が細かく設定されます。
介護タクシーは一般的なタクシーと異なり、ドライバーが介護資格を有しているので、タクシーの乗降サポートをしてくれるのは当たり前と思われるかもしれません。
当たり前と思われるサポートも、ただでサービスされるわけではありません。
個々のサポートに介助料がかかります。
時間で決まる運賃に含まれているわけでもないので注意が必要です。
介護タクシーを利用する際には、どのような介助を受けたいのかをはじめ、介助を受けないと移動が難しい旨を伝えたうえで、事前に見積もりをもらい、どのような介助料が設定されるか確認をすることがおすすめです。

機材使用料

機材使用料と言われてもピンと来ないかもしれません。
機材とは、大型の機械などのことではなく、車椅子やリクライニング車椅子、ストレッチャーなど介助の際に必要な機材の使用料を指します。
一人で歩くことが難しくなり、タクシーに乗るまでに車椅子を利用する場合や寝たきりの方や身体能力の低下や病状が悪く、寝たままで移動したい場合にはストレッチャーを使用しなくてはなりません。
こうした場合は、車椅子を押すことやストレッチャーで運ぶという介助料だけでなく、機材を使うことそのものにも機材使用料がかかります。

介助要員料について

介護タクシーを利用する場合、一般的な送迎などのケースでは介護の専門資格を持つタクシードライバーが一人で対応します。
ですが、介護度が重い場合やストレッチャーを使う場合には、一人での作業が難しいため、介護の専門資格を持つ別のスタッフが同行して介助を一緒に行うケースも少なくありません。
この場合は、介助要員料がかかるうえ、その方が行うサポートについて介助料もかかります。

生活補助料

介護タクシーに乗り降りするための介助や走行中のサポートのほか、病院内で付き添いをしたり、薬の受取を代行してもらったり、立ち寄り先で買い物を代行してもらったりする場合には、生活補助料などとして、別途料金がかかります。
介護タクシーのドライバーや介助要員に対して、さまざまなニーズを依頼することはできますが、依頼すればするほど個々の行為に対して料金が発生するので、その分料金が高くなることを意識しておきましょう。

介護保険の利用と適用外利用

介護タクシーは、一定の要件を満たせば、介護保険を使い、1割負担など自己負担を抑えることも可能です。
一方、介護認定を受けていても、介護保険適用対象外として、全額自己負担で介護タクシーの料金を払う必要がある場合もあります。
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。

介護保険の適用を受けたい場合

介護保険を使って介護タクシーを利用したい場合、あらかじめケアプランに盛り込むことが必要です。
急に介護タクシーの利用ニーズが生じて使ったとしても、ケアプランにあらかじめ盛り込まれていないと介護保険の適用は受けられません。
保険適用となる対象者は要介護を受けている方で、自宅や有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅で暮らしている方のうち、一人でバスや電車といった公共交通機関を利用できない方です。

要介護1といった認定でも、一人で問題なくバスに乗れるといった場合には、介護保険を使って介護タクシーを使うことはできず、全額自費となります。
また、介護保険を適用する場合には、日常生活上または社会生活上、必要な行為に伴う外出に限定されるので、旅行や冠婚葬祭、気分転換のドライブなどのために介護タクシーを利用すると適用対象外です。

日常生活上または社会生活上、必要な行為に伴う外出とは、たとえば病院への通院や食材や日用品の買い物、薬の受取や散髪に行く、金融機関にお金をおろしに行く、郵便局に行く、役所に手続きに行く、選挙の投票に行くなどが挙げられます。
本人が一人では公共交通機関を利用できない状態というのは、ドライバーによる通院等乗降介助が必要な状態であることも必要です。

単に送迎してもらうだけでなく、タクシーの乗降にサポートが必要、外出のための着替えなどの準備に介助が必要、走行中や目的地で排泄介助やおむつ替えが必要など、介護タクシーの利用中に様々な介助が必要になる状態で、そのサポートを受けることを、あらかじめケアプランに盛り込んでもらうことが必要になります。

そのため、あらかじめ担当のケアマネジャーにニーズを伝えて、ケアプランを作成してもらわなくてはなりません。
介護タクシーを利用する目的、目的地やスケジュール、必要となる介助をケアプランに盛り込んでもらいます。

そのうえで、ケアマネジャーがコーディネートする介護タクシー会社とあらかじめ契約を行うことが必要です。

一般的には、ケアマネジャーが介護タクシー会社の担当者を連れて、自宅や老人ホームなど利用者のもとに訪れ、利用するサービスの詳細の確認と重要事項の説明などを行ったうえで、契約を締結します。
ケアプランにもとづき、介護タクシーを利用するので、突発的な利用などはできません。
介護認定を受け、介護保険を利用している方でも、ケアプランに盛り込まれ、かつ介護タクシー会社とそのプランにもとづく契約をしていないと、介護保険を適用した介護タクシーの利用はできなので気を付けましょう。

介護保険を利用しない介護タクシーの利用

ケアプランに盛り込まれていないケースや介護保険の適用対象外になる目的などでも、介護タクシーは利用できます。
その場合は、料金を全額自己負担して利用することが必要です。
たとえば、旅行やドライブなど介護保険の適用対象外になる目的をはじめ、通院などでもケアプランに盛り込まれていない場合です。

まとめ

介護タクシーの料金は、距離または時間による運賃とタクシードライバーによる介助料、介助補助要員の手数料、機材の使用料などで構成されます。
介護保険を利用できる場合は、自己負担額は少なくて済みますが、利用できる条件や目的が限られています。
介護認定を受けていても、あらかじめケアプランに盛り込まないと、介護保険を使って介護タクシーを利用できないので気を付けましょう。
介護保険を使わなければ、全額自己負担ですが、自由な目的で介護タクシーを使いやすいです。
料金を見積もってもらい、納得のうえで利用しましょう。

小野 聰司

記事監修者

小野税理士事務所代表の小野 聰司。
平成21年の12月に小野税理士事務所を開設し、多くのお客様のサポートをしている。